退職者のための「第三の場所」の提唱

退職者のための第三の場所、マザーカフェプラス シニアビジネス
退職者のための第三の場所、マザーカフェプラス

「第三の場所(The Third Place)」とは

「第三の場所」とは、家庭(第一の場所)でもなく、職場(第二の場所)でもない場所のことです。

社会学者のレイ・オルデンバーグ(Ray Oldenburg)が、かつて自著「The Great Good Place」の中で、「第三の場所」が社会的に重要な機能を担っていることを指摘して有名になった言葉です。

この考え方にヒントを得て、アメリカ人に第三の場所を提供することをサービス・コンセプトにして、それまでの立ち飲み主体の店舗戦略を大幅に変更し、大成功を収めたのがコーヒーショップ・チェーン「スターバックス」であることは有名です。

しかし、スターバックスは、現役ビジネスマン以外の人たち、例えば家庭の主婦や退職した人たちにとっては、必ずしも居心地のよい場所とはなっていません。

退職者のための「第三の場所」とは

村田は、米国のマザーカフェ・プラスにヒントを得て、退職者のための「第三の場所」が今後、広く求められていくことを提唱しました。

マザー・カフェ・プラスを参考にして、スターバックスが対象にしていない人たち向け、つまり退職した人向けの「第三の場所」の条件として次が必要だと提案しました。

(1)リーズナブルな価格でそれなりの食事や喫茶が楽しめる
(2)新たな友人をつくるきっかけが多い
(3)生活に役立つ情報が多く得られる
(4)健康維持、教養・スキル向上のための機会が多い

この退職者した人向けの「第三の場所」というコンセプトは大きな反響を呼び、その後多くの方が、具体的なサービスに反映していきました。

たとえば、クラブツーリズム株式会社は「クラブツーリズム・カフェ」として、実店舗を展開しました。また、プロトコーポレーションが「悠々知的」というシニア向けサロンを立ち上げました(現在は閉店)。

さらに、全国に広がったコミュニティ・カフェにおいても、この「第三の場所」のコンセプトを参考にしている例が多く見られます。

しかし、拙著「シニアビジネス」でも述べたとおり、退職者のための「第三の場所」は、カフェだけが唯一の形態ではありません。「第三の場所」の本質は、会社を辞めて毎日行く所のなくなる退職者のための社会的居場所であり、今後、さらなる新事業の出現が期待されます。

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