「ライフプラン」から「ライフワーク」へ

スマートシニア・ビジネスレビュー 2004年9月27日 Vol. 59

lifeplansimulatorしばらく前に仕事でライフプラン・シミュレータに
関わったことがあります。

ライフプラン・シミュレータとは、
たとえば、結婚、出産、住宅購入、退職などの
ライフイベントを入力していくと、
毎月の生活費や老後の生活資金はいくら必要か、
などが具体的な数値で出力される便利なものです。

金融機関や保険会社などでは、
ファイナンシャル・プランナーがこれを用いて、
自社の顧客に対して、例えば老後の生活資金が、
何百万円不足する、ということを数値で示します。
そして、その備えとして今から外貨預金をした方がよい、
投資信託を買ったほうがよい、というような指南をします。

しかし、これを使ってみると、一つの疑問が湧いてきます。
それは、「老後の備え」とは、一体何かということです。

「もちろん、それは老後の生活資金のことさ。
そんなの当たり前じゃないか」という声が
多くの人から聞こえてきそうです。

でも、「老後の備え」とは、
果たして老後の生活資金のことだけでしょうか。

多くの年配の方々と接していると、
生活資金はもちろん重要ですが、
むしろ「老後にどんな生活をしたいのか」の方が
重要に見えます。

言い換えると、
「老後にどういう生き方をしたいのか」
を、老後以前に熟考しておくことが肝心なのです。

ところが、この疑問は、実は、
「老後」になってから思いついたのでは遅過ぎます。
本来、物心ついた頃から考え続けるべき課題です。

しかし、日々の生活の慌しさのなかで、
その課題を考える作業から
何となく逃げてしまう人が多いのではないでしょうか。

そして、逃げ続けた結果、定年退職になり、
それから考えるという人が
特にサラリーマン男性に多かったのではないでしょうか。

でも、これからは、もうそうはいきません。
なぜなら、定年退職という区切りが、
事実上消滅しつつあるからです。

もちろん、65歳定年制という制度としての定年は
法律で制定される限り、残るでしょう。
ところが、実際はいろいろな理由で、
定年を待たずに今の会社を去っていく人が増えています。

これらの動きが示すのは、
定年を基準に「第一の人生」「第二の人生」と
区切って考える時代が終わるということです。

だから、これから必要なのは、
定年後の「ライフプラン」ではなく、
定年の有無に関わらず、
自分が一生賭けて追求する「ライフワーク」です。

自分のライフワークさえ明確であるならば、
勤務先の会社や組織の都合に
自分の生き方の選択を左右されることはなくなります。

したがって、これから求められるのは、
老後の生活資金の工面策を説明するだけの
「ファイナンシャル・プランナー」ではありません。

それより、顧客のライフワーク探しを心底支えてくれる
「ライフワーク・ナビゲータ」こそが
求められるようになるでしょう。

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