映画「サロゲート」が示唆する超高齢社会の一面

スマートシニア・ビジネスレビュー 2010年1月20日 Vol.137

surrogateサロゲートとは、自宅に居ながら操作できる

人間そっくりの代理ロボットのこと。

 

サロゲートの開発により、人々は快適で安全な自宅から、サロゲートを遠隔操作するだけでリアルな現実世界に自分の身を置かなくてもよくなった。

 

サロゲートはロボットであるため病気をしない。

齢をとらないので老いることもなく、

いつまでも若々しい外見を保つことができる。

surrogate2 主人公のトム・グリア(ブルース・ウィルス)の妻、マギー・グリア(ロザムンド・バイク)の美貌と

均整のとれた体形もサロゲートであるがゆえなのだ。

 

サロゲートの管理者が、ある家庭内で妻に暴力を振るおうとしている夫に介入し、ドメスティック・バイオレンス(DV)を防ぐ場面がある。

 

これは本来、法律違反なのだが、

管理者は「DVの予防は社会貢献」だと言う。

 

このようにサロゲート社会は、病気や老い、

人間関係の煩わしさなど

人間にとって都合の悪いこと全てを

代理ロボットに委ねられる

「便利で快適で安全な」社会だ。

 

だが、こうした社会は

本当に素晴らしい社会なのだろうか。

 

私たちは社会の中で常に「便利さ」「快適さ」を求めている。

この私たちのニーズに応えるべく、

企業は「より便利」で「より快適」な商品・サービスを

提供しようと日夜努力している。

 

だが、これは見方を変えると、皆が

世の中にある「不便さ」「不快さ」を

減らそう、排除しよう、抹殺しよう、とする営みである。

 

インターネットや携帯電話の発達で、

私たちは直接会わなくても多くの人と

コミュニケーションが取れるようになった。

 

ネットを通じて見知らぬ人とも簡単につながり、

多くの出会いの機会を得られるようにもなった。

 

だが、こうしたネット中心のコミュニケーションは、

リアルな接触・対面を希薄にする。

同じ職場で隣同士に座っていながら、会話せず、

メールだけでやりとりをする場面は至る所で見られる。

 

この映画が私たちに問うているのは、

人間はロボットにどこまでの役割を委ねるべきか、

という問いである。

 

それは、快適さの追求が人間の能力を衰えさせる

という逆説に対する問いである。

 

 

 

参考情報

 

ビジネスレビュー Vol. 135 2009年11月4日

高齢化対応ロボットは誰のために?

ビジネスレビュー Vol. 123  2008年11月25日

便利な時代の不便さ

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