中年期のメタボ対策には「昭和50年頃の食事」がよい

シルバー産業新聞 連載「半歩先の団塊・シニアビジネス」第145回

中年期と高齢期では摂るべき栄養が変わる

栄養は私たちが提唱するスマート・エイジングのための4条件の一つである。自分の状態に合わせて、いかにバランスのよい栄養を毎日の食事から摂るかが重要だ。

ここで注意すべきことは「中年期と高齢期とでは摂るべき栄養が変わる」ということだ。

この理由は、一般に壮年から中年期においては栄養過多が寿命を縮め、高齢期においては栄養不足が心身機能を衰弱させるからだ。これは医学界では常識になっているが、一般の方にはご存じでない方も多いと思う。

中年期の方の多くには、若い頃に身につけた「がっつり系」の食生活が染み付いていて、なかなかそのクセが抜けない。

ところが、体のほうは歳をとるにつれて、それほどカロリーや脂肪分を必要としなくなっている。にもかかわらず、若い頃と同じような調子でついつい飲食してしまいがちだ。

また、一般に若い頃に比べて運動量が減っていることに加え、様々なストレスが増えている。だから多くの中年期の方は、中年太り、いわゆるメタボになってしまう。この状態が続くと、体のあらゆる場所を傷つけ、寿命を縮めていく。

「昭和50年頃の食事」とはどのようなものか?

東北大学の都筑准教授らの研究グループは、昭和35(1960)年から平成17(2005)年までの日本人の食事を、年ごとに比較する研究を行った。

その結果、昭和50(1975)年の食事が最も肥満を抑える効果が大きく、老化を抑制して長い寿命をもたらすと結論づけた。都筑准教授はこれを「スーパー和食」と呼んでいる。

スーパー和食とは、米のご飯を中心に、魚介類、豆類、海藻類など腹持ちのよい食品が多く、それに少し欧米化したメニューが入っているものだ。

例えば、朝食は米のご飯、アジの干物、あさりと小松菜の煮浸し、花豆の甘煮、ナスの味噌汁、といった具合。昼食は少し欧風化してサンドイッチ、コンソメスープ、果物。そして夕食がご飯、肉じゃが、もずく酢、キャベツと卵のすまし汁、といった具合だ。

「スーパー和食」が体によい理由とは?

スーパー和食が体によい第一の理由は、体内の代謝が活発になるためだ。腹持ちがよい食品が多く、これらは消化吸収のスピードが遅く、血糖値が上がりにくいからだ。

血糖値が上がりにくいと、インスリンの分泌が抑えられる。インスリンにはブドウ糖を脂肪に換える働きと、体内に溜まっている脂肪の分解を抑える働きがある。

腹持ちがよい食品を食べることでインスリンが出にくくなると、体内のブドウ糖も脂肪に換えられないため、脂肪が内臓に取り込まれにくくなる。

したがって、ブドウ糖を熱として放出して代謝がよくなっていく。これが習慣づけられると、たくさん食べても脂肪が溜まりにくい、つまり太りにくい体質になっていく。

スーパー和食が体によい第二の理由は、体への負担が少ないためだ。マウスの実験では、スーパー和食を食べたマウスのがんの発症率が現状の4分の1に、糖尿病のリスクが5分の1になったというデータが出ている。

また、認知症の発症リスクが4分の1に低減したという知見も得られている。この理由として、スーパー和食には豆腐や納豆といった大豆食品が多いことが挙げられる。

これについては福岡県福岡市に隣接した久山町で昭和36(1961)年から現在まで行われている、現地住民8400人を対象にした大規模な疫学調査がある。

この調査によると大豆食品や野菜を多く摂る人は、そうでない人に比べて認知症になる人が3割少ないという結果が出ている。つまり、人間を対象にした調査結果から見ても、大豆食品が多いスーパー和食には認知症予防について一定の効果があると判断できる。

さらに、スーパー和食には内臓脂肪を減らす効果もある。内臓脂肪からは血圧や血糖値を上げる悪いホルモンが放出されるため、内臓脂肪が溜まると体にさまざまな悪い影響を与える。

そのため内臓脂肪が減ると、体型がスリムになるだけではなく、生活習慣病の発症も抑えられるのだ。

東北大学SAC東京では、栄養、認知、運動、社会性の観点から最先端の研究知見を企業に提供している。

東北大学スマート・エイジング・カレッジ(SAC)東京

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