脳トレでイライラ解消!

ノジュール10月号 連載 今日から始めるスマート・エイジングのススメ第1回

今日から始めるスマート・エイジングのススメ

JTBパブリッシングの月刊誌「ノジュール」10月号より、新連載「50歳から輝く暮らしのヒント 今日から始めるスマート・エイジングのススメ」が始まりました。

最初のリード文に「加齢」とは「人間の成長」―――。これからの暮らしをもっと輝かせるために「スマート・エイジング」、賢く生きるためのヒントを・・・と記載して頂きました。

連載第1回のテーマは「脳トレでイライラ解消!」本連載では、拙著「スマート・エイジング 人生100年時代を生き抜く10の秘訣」をもとに、主に50代・60代の方向けにわかりやすい解説を心がけます。

50代を過ぎると涙もろく、イライラしたりするのはなぜ?

皆さんは以前に比べて涙もろくなったと感じていませんか。「NHKの朝ドラを観ると感情移入しやすいのか、必ず涙ぐむの」「先日映画を観たら冒頭から涙があふれ出て・・・感受性が豊かになったみたい」―――こんな声が私の周辺でもよく聞かれます。

しかし、それは感情移入しやすくなったのでも、感受性が豊かになったのでもありません。加齢に伴う大脳中枢の機能低下が真の理由です。

私たちの身体では大脳の前頭葉の「背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや)」と呼ばれる部位が脳全体の司令塔となり、記憶や学習、行動や感情を制御しています。涙もろくなったのは、この部位が担っている感情の「抑制機能」が低下したためです。

また、ここ数年「キレる高齢者」が目立つようになっています。駅や病院で暴言を吐いて乱暴に振る舞ったりする高齢者を時々見かけます。

2016年版『犯罪白書』によれば、20年前と比べて高齢者の「暴行」は49倍に増加しています。こうした「キレる高齢者」の増加も、感情を抑制できない人が増えたためです。

歳をとるにつれて「涙もろくなること」は悪いことではないと思う方もいるでしょう。しかし、「涙もろくなること」と「キレやすくなること」は背外側前頭前野の機能低下が原因である点で表裏一体であり、決して楽観できません。

では、なぜ、こうした機能低下が起こるのでしょうか。この部位の中核機能の一つに「作動記憶」があります。これは短時間に情報を保持して処理する能力です。

例えば、会話するときに相手の言葉を聞いて理解しながら受け答えをするときや、料理の手順を考えて調理するときに、この作動記憶が必要です。日常生活を健全に営むために作動記憶は必須の能力です。

問題は作動記憶の容量が加齢とともに減少することです。すると、相手の言葉を聞いて理解しながら受け答えをするのに手間がかかります。つまりストレスがかかり、我慢ができなくなります。これが感情の抑制機能を低下させる原因です。

こうした背外側前頭前野機能の低下を向上するのが「脳のトレーニング(脳トレ)」です。この分野の第一人者、東北大学の川島隆太教授によれば、脳トレには「情報の処理速度を向上する」ものと「作動記憶容量を拡大する」ものの2種類があります。

前者の例としては、①大きな声で音読する、②簡単な計算を素早く解く、③手で書く、ことが挙げられます。毎日手軽にできる①の例として、1日800字程度、新聞のコラムなどの音読がお勧めです。また、②、③は市販の脳トレドリルを利用するのもよいでしょう。

一方、後者の例としては、「スパン課題」と「Nバック課題」があります。「スパン課題」とは、例えば、数字を1、7、8、2……5と一つずつ見せたり聞かせたりした後に、覚えた数字をそのまま提示した順番で答えてもらったり、見たり聞いたりしたものとは逆に答えてもらったりする課題です。

脳トレをしてココロ優しい大人に

一方、「Nバック課題」とは、連続して情報が提示されている最中にN個前に提示された情報を思い出して回答してもらう課題です。

例えば、数字を、1、7、8、2……5と一つずつ見せたり聞かせたりしている最中に、2バック課題では3番目に8が出てきた瞬間に、その2つ前に出てきた数字である1と答え、4番目に2が出てきたときには、同じくその2つ前に出てきた数字7と答えます。これを連続して行います。

実際にやってみると脳にかなりの負荷がかかることを感じますが、これが作動記憶容量の拡大につながることが東北大学の研究で明らかになっています。

ちなみに、これら2つの課題が任天堂の3DS用ソフト「ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニング」(「鬼トレ」)として製品化されています。

興味深いことに、この作動記憶のトレーニングを続けると、脳の実行機能、予測や判断力、集中力も向上し、仕事や勉強の効率が上がったり、家事がスピードアップしたり、スポーツが上達したりと、さまざまな効果が現れることがわかっています。

中年期を過ぎた皆さんは、近い将来に「キレる高齢者」ではなく、「ココロ優しい大人」になるために、今から毎日15分の脳トレをお勧めします。

月刊誌「ノジュール」

スマート・エイジング 人生100年時代を生き抜く10の秘訣

あわせて読みたい関連記事

タグ


このページの先頭へ

イメージ画像