ちょいメタボにはスーパー和食!

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今日から始めるスマート・エイジングのススメ

ノジュール11月号 連載 今日から始めるスマート・エイジングのススメ第2回

JTBパブリッシングの月刊誌「ノジュール」11月号連載「50歳から輝く暮らしのヒント 今日から始めるスマート・エイジングのススメ」、第2回のテーマは「ちょいメタボにはスーパー和食!」

本連載では、拙著「スマート・エイジング 人生100年時代を生き抜く10の秘訣」をもとに、主に50代・60代の方向けにわかりやすい解説を心がけます。

あなどれない?ちょいメタボの怖さ

一般に50代~60代では、食事の量は若い頃の5分目ほどで十分なのに、ついそれ以上に食べて飲んでしまいがちです。若い頃に身につけた「がっつり系」の食生活のクセが抜けないこと、若い頃に比べて基礎代謝が減り、太りやすい体質になっていることが主な理由です。

このため、こうした食生活を続けると体は「メタボ(メタボリックシンドローム、内臓脂肪症候群)」に陥りがちです。

メタボとは「内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさり、心臓病や脳卒中などの動脈硬化性疾患をまねきやすい病態」のことです。

内臓肥満とは、腸の周辺とお腹の内臓同士の間の空間に脂肪がたくさんついた状態です。これに加えて高血圧や糖尿病、脂質異常症などが二つ以上重なって生活習慣病になります。

50代、60代でメタボの人が取るべき栄養とは?

実は過去数年間、私自身が典型的なメタボで、1年半前に糖尿病と診断され、目を患うという苦い経験をしました。その時に私が実践した食事がメタボ改善に有効でしたのでご紹介します。

1.必ず一日三食食べ、主食は玄米を摂る

基本的に主食は「玄米」とし一日三食必ず食べます。理由は、玄米は白米に比べ食物繊維が多く腹持ちがよいため、量を減らし摂取カロリーを少なくしても脳が必要とするブドウ糖をコンスタントに供給できるからです。また、玄米はビタミンなどの栄養価も豊富です。

2.緑黄色野菜をたくさん摂る

特に緑黄色野菜が重要です。理由は淡色野菜よりもβカロチン、ビタミン、鉄などのミネラル類、葉緑素、食物繊維を多量に含んでおり、これらは生活習慣病の発症原因とされている活性酸素を消去する成分(カロチノイド、ポリフェノールなど)も多く含むからです。

3.タンパク質を十分に摂る

基本的には魚介類が中心ですが、脂質の少ない肉、大豆食品など植物性タンパク質も摂りました。メタボの改善には基礎代謝の向上が効果的で、それには筋肉の増強が重要です。筋肉のもとはタンパク質なので良質のものを十分に摂る必要があります。

4.海藻・きのこ類も多く摂る

海藻・きのこ類はミネラル分が豊富ということもありますが、カロリーが低いのに「かさ」が多いので、お腹を膨らませることができます。

また、カロリーが高くて脂っこいもの(とんかつ、天ぷら、揚げもの、ひき肉料理)は控えました。実は、私が試みたこうした食生活が今から40年以上前の昭和50年頃の食事に限りなく近いことが、後から判明しました。

今日からできるスーパー和食の魅力

東北大学の都筑准教授らは、日本人の食事を年毎に比較する研究の結果、昭和50年代の食事が最も肥満を抑える効果が大きく、老化を抑制して長寿命をもたらすと結論づけ、「スーパー和食」と呼んでいます。

これは米のご飯を中心に、魚介類、豆類、海藻類などの食品が多く、少し欧米化したメニューが入っているものです。

これが体によい一つ目の理由は、体内の代謝が活発になるためです。腹持ちがよい食品が多いため消化吸収のスピードが遅く、血糖値が上がりにくいからです。するとインスリンの分泌が抑えられ、脂肪が内臓に取り込まれにくくなります。

二つ目の理由は、体への負担が少ないためです。実験では、スーパー和食を食べたマウスのがんの発症率が現状の4分の1に、糖尿病のリスクが5分の1になったというデータが出ています。

三つ目の理由は、認知症の発症リスクを下げるからです。それは、スーパー和食には魚が多いことが要因になっています。

魚にはオメガ3系という脂肪酸が多く含まれ、これらが血中に多いと、特に高齢者の場合、記憶力などの認知機能検査の成績がよいというデータがあります。マウスでの実験でも認知症の発症リスクが4分の1に低減したというデータが出ています。

さらに、スーパー和食には豆腐や納豆などの大豆食品が多いことも重要です。福岡県久山町の大規模な疫学調査によれば、大豆食品や野菜を多く摂る人は、そうでない人に比べて認知症になる人が3割少ないという結果も出ています。

読者の皆さんでメタボから抜けられない方は、まずスーパー和食を食生活に取り入れてみましょう。

月刊誌「ノジュール」

スマート・エイジング 人生100年時代を生き抜く10の秘訣

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