目に見えないから早期発見を 認知機能チェックで家族と自分を守る

ノジュール2020年7月号 今日から始めるスマート・エイジングのススメ

脳と運動器の維持で要介護リスクは下がる

3月号で要介護状態になる原因の上位が「認知症」「脳卒中」「高齢による衰弱」であるとお伝えしましたが、実は要介護状態になる原因の順位は男女で異なります。

原因の第一位、第二位は男性では「脳血管疾患(脳卒中)」「認知症」ですが、女性では「認知症」「高齢による衰弱」です。

高齢による衰弱の多くは「サルコペニア」と呼ばれる状態で、主に低栄養と運動不足が原因で筋肉が衰える状態です。

さらに第三位以下は男性では「高齢による衰弱」「骨折・転倒」「心疾患」「関節疾患」、女性では「骨折・転倒」「関節疾患」「脳血管疾患」「心疾患」となっています。

関節疾患は「運動器症候群(ロコモティブシンドローム)」とも呼ばれています。ここでいう運動器とは、体の運動に関わる骨、筋肉、関節、神経などの総称です。そして、「骨折・転倒」の多くは運動器障害の結果として起こります。

これらを眺めると、男性は脳に関わる疾患が多いのに対して、女性は運動器に関わる疾患が多いことがわかります。男女どちらにも言えるのは、脳と運動器を健康に維持できれば、多くの場合で要介護状態になるリスクは下げられるということです。

運動器障害は見えるが認知機能低下は見えにくい

例えば、骨折した、筋肉が落ちた、歩き方が変など運動器の障害は外から見ることができます。一方、私たちは通常自分の脳の中を見ることができません。

病院やクリニックでCTやMRIといった計測装置を使えば脳の情報の一部は得られますが、日常生活の中で自分の脳の不調に気付くことは難しいです。

そこで、脳の中を見る代わりに、脳の認知機能低下の兆候を早めにキャッチし、昨年の10月号でお話した脳トレを実施するなどで、なるべく早い段階で機能改善を図ることが要介護を防ぐひとつの方法と言えるでしょう。

早く気がつくためのチェックポイント

次のチェック項目で、ご家族やご自身の状態を確認してください。一つでも当てはまることがあれば、認知症の専門医や診療所に相談して、早期発見につなげましょう。

(1)もの忘れ、置き忘れの頻度が増えた
(2)小さな買い物でも、小銭ではなく、お札で払う
(3)予定を頻繁に忘れる
(4)知っているはずの道で迷う
(5)5分前に訊いたことを、また聞く
(6)鍋をよく焦がすようになった
(7)今日の日付が言えない
(8)自分の年齢が言えない
(9)時計の絵や立方体の絵がうまく描けない
(10)旅先でお風呂に入れなくなった

認知症の専門医をどうやって探すか?

認知症の専門医は、病院の精神科、神経内科、老年科、「もの忘れ外来」などにいます。とはいえ、すべての精神科や神経内科の医師が認知症に詳しいわけではありません。

また高齢の方は、こうしたところにいきなり連れていこうとすると抵抗感が強いので、まずは、近所の診療所に相談できれば、その方がいいでしょう。

適切な診療所を探すときは、最寄りの地域包括支援センター、保健所、保険センター、市区町村の社会福祉事務所などに問い合わせるのがおすすめです。

家族に受診を促すちょっとしたコツ

認知症が疑わしい家族を病院に家族を連れていく際に、最も苦労するのは、本人が受診を嫌がり、どうやって受診させたらよいかがわからないことです。

この対策は、本人の性格や家族の状況などでさまざまですが、一つの方法は、「健康診断を受けておきましょう。何でもなければ安心なので」と言って、連れていくことです。

この場合、連れていく病院に「受診を嫌がっているので、健康診断だと言って連れていきます」と事前に連絡しておき、対応してもらうようにすれば、スムーズにいきます。

また、病院での待ち時間が長いと、待つのが嫌で帰りたがる可能性が高いので、必ず予約を入れましょう。

さらに、受診する日は、本人には直前に告げるのがよいでしょう。あまり早くから受診することを伝えると、当日になって「やっぱり行かない」と言い出すことが多いからです。

本人がどうしても嫌がるときは無理強いをせず、次の機会を待ちましょう。決して、叱ったり、責めたりしないことです。

認知症になると、叱られたり、落ち度をなじられたりする機会がどうしても増えがちなのですが、これが一番逆効果なのです。

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