定年後の男性の社会参加 女性主導で巻き込め

9月28日 読売新聞 論点

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928日の読売新聞 論点に掲載された「定年後の男性の社会参加 女性主導で巻き込め」と題した小論の全文を掲載しました。


また、本稿に寄せられた感想の一部をご本人に承諾をいただいたうえ、掲載しました。個人情報を特定できないよう、一部固有名詞については伏せてあります。


誤解を避けるために申し上げておくと、私は、退職男性は女性に従え、というようなことは一切主張しておりません。地域のボランティア組織などを運営する立場の方が、どうしたら男性を無理なく巻き込めるかという観点でのアドバイスととらえていただければ幸いです。

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市民の認知症予防活動の場として東北大で9月に開設した「脳いきいき学部」がボランティア・サポーターを募集したところ、百人余の応募があった。大半は女性で、最終決定の6人も5人が女性。受講申し込みも女性が8割を占める。

シニアに人気の映画館、演劇などでも自立つのは女性だ。体を鍛える場でも、近所にあって低価格、短時間で参加でき仲間も出来る、と人気の女性専用フィットネスクラブが、2005年に米国から上陸以来、全国展開しているが、男性版は存在しない。米国では男性版の試みもあったが男性は仲間作りが苦手らしく、消えたという。

男性専用フィットネスを作れないか、或いは、どうしたら地城の活動に男性を巻き込めるかという相談を私は良く受ける。そこで改めて、退職後の男性の社会参加が不調な理由や対策を考えてみたい。

明らかなのは、女性の方が寿命が長く、同年齢層では男性が少ないことだ。人口の男女比は70歳代でおおむね1280歳代ではおおむね13となる。だがそれだけでなく、退職後の男性は社会参加の意欲が乏しい傾向がある。現役時代は心身を酷使して働いたから、退職後は休みたいという思いが強いようだ。現役時代と違う働き方なら、という男性もいるが、適切な活動が見つからないケースも多い。

男性の社会参加が少ない事実は社会的な損失になる。能力も意欲もある人材が活かされないだけでなく、外に出る機会が少ないと社会的に孤立しやすく、心身の健康を損ねて要介護状熊になるなど、社会的費用の増加にもつながる。

では、男性の社会参加を促すにはどうすればよいか。私の経験では次の五つが有効だ。第一に、無償奉仕でなく、少額でも対価があること。東京都稲城市が介護支援ボランティア制度に多数の男性の参加を得ているのは、ボランティア交付金が支払われることと無関係ではないと私は見ている。

第二に、社会的立場のある人から頼られること。福島県内の脳の健康教室で、男性の参加が多かったので尋ねたところ、会場の小学校の校長から直接協力を頼まれ断れなかったとの声を複数聞いた。

第三に、会社時代の経験を生かせること。特に団塊世代の男性は知的好奇心が強く、現役時代に優れた技術や手腕を身につけているケースが多いから、それを生かして人の役に立てるのは何よりだ。

第四に、自分が主役になれる機会が与えられること。脳の健康教室の「受講生」になるのは抵抗があるが、受講者を支援する「サポーター」ならやる気が出るという人は多い。その代表となればさらに意欲が湧く。さほど責任の重くない「みこし」に乗せてもらう環境が整うと男性は乗りやすい。

第五に、妻など身近な女性に誘ってもらうこと。女性の多い場に一人で参加するのは勇気がいるが、きっかけがあれば参加しやすい。

ばかばかしいと思うかもしれないが、シニアの活動現場に関わってきた私の率直な考えだ。定年に直面している団塊世代の男性の社会的孤立が、今後深刻な事態を招くことは明らかであり、社会参加する方が本人も社会も幸福なはずだ。高齢社会は人口比で勝る女性が主導する社会。新たな役割が女性に求められているともいえる。

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(読者からの感想の一部)

「高齢社会は、女性主導の様相が強く、現役時代に比べると何となく男性の存在感が薄まっているように思われます」というご意見、そのとおりです。

 

最近、地区ナンバーワンの病院「XX病院」に、お見舞いで数回通いました。

院内に、テーブル席が10以上ある見舞い客と患者が一緒に食事・談笑が出来る見晴らしの良い一室があるのですが、観察していて気づいたのは

 

1.入院されているお年寄りは、男性が多い。その患者をおばあさんが世話を焼いている。

2.通院されている方も、我々以上の年齢では男性が目立つ。

 

そういえば、同期会でも話題になるのは、

 

1.自分の健康状態、家族の健康⇒大体、どこかに気になる点があり通院中。

2.親の面倒

3.毎日の時間の過ごし方

4.妻との接し方

 

が多い様に思います。

 

ジムで感じるのは、当たり前ですが平日は各年代とも圧倒的に女性客が多いこと。その女性客はほぼ毎日通っていますし、滞留時間も長時間。自然と体も健康に、また顔なじみができます。男性といえば、現役世代は会社帰りのわずかな時間にあわただしく利用するケースが大半だと思います。

 

こうしたことから、

 

1.健康状態:女性とくらべ、男性は年をとるほど、病気がちになる。

2.地域での友人作り:女性が圧倒的にリード。

 

という印象があります。地域活動より、病院通いというのは情けない話ですが、これが実態の様な気がします。(64歳、男性)

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難しいテーマですね。

私が住む団地(マンション)では「釣りクラブ」や「グリーンクラブ(団地内の小さな草花を維持管理しています)」等があり、ここでは男性の割合が高いように見受けられます。

「団地」という、一種の運命共同体(日ごろの団地全体の維持管理や立替等という課題を共有している)だからこそという面もあると思いますが。

また、私の家の隣のご主人(70代)は、特にサークル等には参加しておられませんが、月に一度の「クリーンディ(みんなで周辺を清掃する)」には、ご主人が積極的に参加しています。

何か、特別なことに新たに取り組むというより、身近なところで気軽に参加できることの選択肢多ければ、参加するきっかけ作りができるのではないでしょうか。

私は、相変わらず地域の少年サッカーの指導や、自身でプレーするシニアサッカーで十分な地域交流ができる場を得ています。

 

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