前頭前野鍛えて認知症予防
毎日新聞 2013年7月6日 連載 村田裕之のスマート・エイジング 第4回
私たちの脳で、いちばん高度な役割を担っているのが大脳です。大脳のうち、額の裏側にある前頭前野が特に重要です。前頭前野は、ひと言でいえば脳の司令塔。思考する、コミュニケーションする、意思を決定する、行動や感情を抑制する、といった高度な能力を司っています。ところが、認知症の方はこの前頭前野が働いていません。ですので、ここを活性化すると認知症が改善します。
では、どういう時にこの部分が最も活性化するか。たとえば、テレビを見ている時に活性化するのは画像を認識する後頭葉と音を認識する側頭葉のみ。つまり前頭前野は活性化しません。これは実はリラックスしている状態です。ですからテレビは一日数時間楽しむ分にはいいのですが、毎日6、7時間も見るのは脳のためにはよくありません。退職すると家でテレビを見る時間が長くなりがちなので、そういう方は要注意です。
一方、簡単な計算を素早く解く、手書きで文字を書く、大きな声で音読するといった作業が前頭前野を含む左右の脳のいろいろな部位を活性化することがわかっています。これらの作業は「作動記憶トレーニング」と呼ばれるものです。作動記憶というのは、ふだん私たちが使っている記憶力です。たとえば、人の話を聞き、言葉を理解する際には作動記憶を使っています。
作動記憶トレーニングは自分ができる「ぎりぎりの難しさで行う」のが重要です。易し過ぎても、難し過ぎてもだめです。面白いのは、このトレーニングを続けると記憶力だけでなく、記憶力以外の能力も向上することです。これによって認知症の方の症状が改善するだけでなく、健康な方の認知症予防にもつながります。
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