親が元気なうちに準備を 介護のココがポイント①老人ホーム

解脱11月号 特集 しあわせ家族研究室

解脱_2013年11月号_表紙_2介護があなたのもとに訪れるのは、ある日突然のことかもしれません。そうしたときに慌てないためにも、備えが肝心です。ロングセラー『親が70歳を過ぎたら読む本』の執筆をはじめ、シニアビジネスのパイオニアとして知られる、村田裕之先生に介護のポイント、とくに今回は「老人ホームの選び方」をお聞きしました。

 

親が元気なうちに準備を

 

日本人の約8割は年を取っても「今住んでいる自宅に住み続けたい」と思っています。しかし要介護度が増すと、介護を行なう家族の負担は計り知れません。そうしたことを考えると、老人ホームの選択肢は考慮すべきものです。

 

私たちは、老親が要介護状態になり、慌てて施設を探して、トラブルに見舞われることがとても多い。これを考えると、親が元気なうちに老人ホームに体験入所するなどして、準備をしておくことが大切です。

 

老人ホーム選びでは、在宅介護と違いケアマネージャーなどの専門家がいませんから、基本的に当事者が足を運んで情報収集しなければなりません。そうした中で一番よい情報源は、介護体験をもっている人の体験談です。これは在宅介護の場合にもあてはまり、「ここが大変だった」「これを知っておくと便利」など、参考になることが多々あります。

 

解脱_2013年11月号_3-1_2施設長と話をする

 

ホーム選びでとくに重要なのが、「施設長(ホーム長と呼ぶところもあり)の能力」です。大概、見学に行くと、「入口のシャンデリアがきれい」「サロン室がオシャレ」など、ハード面に目が行きがちです。

 

しかし、介護はソフト面、つまり人間同士の関わりの中で行なわれていくものですから、施設で働く人にまず目を向けましょう。その点、施設長がどのような人なのか、実際に会って話を聞き、その人の人間観や人柄を知ることが大切です。

 

施設長がいいところは、スタッフもいきいきしていますから、施設の雰囲気もいい。これは日本に限らず、海外の施設でもいえることで、老人ホーム選びの鉄則といえるでしょう。

 

入居率を聞こう

 

ホーム選びのポイントはたくさんありますが、分かりやすいのが「入居率」です。開所後2年で入居率が9割以上なら問題なし、7割なら合格ですが、7割未満なら問題ありです。ホーム見学のときには「開設はいつで、入居率はどれくらいですか?」と尋ねましょう。

 

ただし、気をつけたいのは、営業担当者はこうした数字を大きめに伝えることが多いこと。そのため、現場のスタッフからも話を聞くようにしましょう。

 

解脱_2013年11月号_3-2_2見学は一人で行かない

 

ホーム見学の際は、最低2人、できれば3人ぐらいで行くようにしましょう。一人だとマンツーマンの対応をされて、施設に有利なことしか話されないことが多いからです。逆に、たとえ一人で行った時でも「実はこうした問題もある」と正直に話してくれるところは、信頼できる施設といえます。

 

注意したいのは、開所したばかりの施設は見学してもあまり意味がないこと。介護は人間同士のふれあいの賜物ですから、人の住んでいないハードだけの場所に行っても、何も分からないからです。

 

施設として、お客様をあずかり、責任を持って、楽しくもてなしていく。これをどれだけ具体的なアクションとして示しているかが大切です。ホームの中には家族会を催し、家族からの要望をこまめに聞いたり、運動会に家族を呼んだりして、信頼関係を構築する取り組みを行なっているところもたくさんあります。部外者でもこうした行事に参加できると良い施設選びに役立ちます。

 

 

契約時に注意すること

 

多くの有料老人ホームでは、入居時に「入居一時金」を払います。老人ホームのトラブルで多いのが、途中退去の際、この入居一時金の返還額が想定よりも少ないことによるものです。

 

老人ホームには「償却」という独特の慣習があり、「自立型」と呼ばれる施設の場合、15年で「入居一時金」がホームに回収されます。たとえば、施設に入居一時金3千万円を払い、3年で退去することになったとしましょう。施設の中には、入居時に30%を償却してしまうところもあり、入居時で900万円が差し引かれます。それから1年当たり200万円ずつ引かれ、退去時には半分以下しか返ってきません。

 

こうした入居一時金の返還については、「契約書」や、契約時に示される「重要事項説明書」という資料に記載されています。トラブルを防ぐために、入居前にしっかり内容を理解しておくことが大切です。

 

高齢者施設は玉石混交

 

老人ホームにかぎらず、現在の高齢者向け施設の中には、要注意なものもあります。たとえば、一部の「分譲型シニアマンション」。これは60歳以上限定のマンションで、関西地方に多く、通常のマンションより価格が高めに設定されています。

 

マンションの管理は管理組合が行ない、販売を行なうデベロッパーは関与しません。管理組合は住民同士の寄り合いですから、「共有ルームのおふろ場を修理する」など、費用を拠出する局面で利害がぶつかりやすく、問題になりやすい。しかし、入居者はこうしたことをほとんど知らずに入ってきます。

 

もっと最近の例では、2011年からはじまった、「サービス付き高齢者向け住宅(略称:サ向住)」と呼ばれる、高齢者向けの賃貸住宅にも問題物件があります。訪問介護を行なう際、初期につくられた「サ高住」は、おふろ場や食堂が1階にしかついていないものが多い。この構造だと要介護度が増して、階段での移動が難しくなった場合、介護者の負担が増大してしまいます。

 

粗悪施設に入居しないためにも、本を読み、話を聞いたうえで、実際に足を運んで、「知る」ということが、何より大事です。

 

 

参考:親が70歳を過ぎたら読む本

 

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