老人介護施設優良格付けは信用できない

日刊ゲンダイ 2011年3月7日号

nikkangen_110309多人数=スタッフの質じゃない

「経済誌やネットの口コミをまとめた書籍のランキングは、ひとつの目安にはなっても、最終的な選択基準にはなり得ない。信憑性が低いからです」

こう話すのは「親が70歳を過ぎたら読む本」(ダイヤモンド社)の著者、村田裕之氏(東北大特任教授)だ。高齢者施設に詳しい同氏は、経済誌のランキングを例に挙げ、こう疑問を投げかける。

「まず調査方法。すべての施設に足を運んで直接調査しているわけではなく、アンケート方式による施設側の自己申告です。本当に優良な施設でも無回答の場合は未掲載。さらにネットの口コミなど、一方的で偏りやすい情報を参考にしています。それに、評価項目が老人ホームの質を十分に反映していない。評価基準自体不十分」

たとえば、<看護・介護体制の充実度>。看護・介護スタッフ1人当たりが抱える入居者の人数を算出し、人数が少ないほど充実していると高評価だ。が、要介護度の重い人と軽い人など、度合いひとつをとっても、手間のかかり具合は異なる。スタッフの数が多いから、全居入者が手厚い看護・介護を受けられるとは限らない。そもそも、多人数=スタッフが優秀とは言い切れない。

「<介護福祉士の介護職員に占める比率>も同じ。数値が大きいほど介護体制の充実に熱心という解釈をしていますが、必ずしもそうではない。資格取得者数と、提供されるサービスの質や入居者の満足度は、必ずしも一致しません。そういう現場は数多くあります」 <夜間看護体制の状況>も人数にかかわらず、24時間常駐なら最高基準だ。また、<個別機能訓練の有無>だけで、リハビリへの取り組む姿勢が測れるのか。最寄り駅から徒歩10分圏内の<立地>は、訪問する家族や友人にとって本当に便利なのか。クルマの方が融通が利く人はいないのか・・・。 機械的なデータ採取だけで“終の棲家”を評するのには、限界があるのだ。

「つい建物や設備といった<ハード>に目が向きがちですが、本当に肝心なのは、食事や入浴、介護サービスといった<ソフト>と運営体勢などの<マネジメント>面です。見学時には施設長の考え方やスタッフの動きなどに注意しましょう」

 本記事で紹介されている「親が70歳を過ぎたら読む本」はこちら

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