高齢社会の問題を考えることは、私たち自身の近未来を考えること

解脱12月号 連載 スマート・エイジングのすすめ 最終回

%e8%a7%a3%e8%84%b1%e4%bc%9a_%e6%8e%b2%e8%bc%89_12%e6%9c%88%e5%8f%b7長寿の双子姉妹として有名だった「きんさん・ぎんさん」が、生前100歳の誕生日に表彰されました。賞金を授与された際、テレビのインタビューで「きんさん、ぎんさん、賞金は何に使いますか?」と質問され、「老後の蓄えじゃ」と答えて笑いを誘ったものです。

しかし、彼女らの答えに象徴されるように、高齢になっても、お金を貯め続けて、使わずに天国に行ってしまう高齢者がいまだに多いのが現状です。その理由は、貧しい時代に育ち、戦争による窮乏を体験してきたため、倹約精神が強いことです。

それに加えて、社会の先行きに明るい展望が見られず、“漠然とした将来不安”を抱えており、お金を使うのが怖いからです。

%e8%a7%a3%e8%84%b1%e4%bc%9a_%e8%a1%a8%e7%b4%99%ef%bc%bf12%e6%9c%88%e5%8f%b7高齢者が抱く、この“漠然とした将来不安”の中身の多くは、将来、認知症や要介護状態になったらどうしようという「健康不安」と、将来、年金の先細りや医療費の増加で生活費が不足するようになったらどうしようという「経済不安」です。

また、日本人の平均寿命が延び続けていることは認識しているため、好むと好まざるとにかかわらず、自分は長生きする可能性が高いと思っており、それゆえ、こうした「健康不安」と「経済不安」がさらに強まるという心理構造が形成されています。

しかも、こうした“漠然とした将来不安”は、まさに漠然とした状態のままで、目に見えないがゆえに、さらに強まる面があります。

しかし、年金の先細りについては個人の力ではどうにも防ぎようがありませんが、それ以外は実は個人の努力で何とかなるものが多いのです。したがって、その中身を“目に見える形”にして、それが予防できることがわかれば、“漠然とした将来不安”はもっと解消できると思われます。

実際、それまで遺言書なんて必要ないと思っていた人が、あるきっかけで遺言書を書いてみたところ、「頭のなかが整理されて、すっきりした」と感じるようです。「ここまで準備しておけば、いざというときにも大丈夫」というレベルまで、しっかり手を打っておけば、後は安心して残り時間もお金も好きなことに費やすことができるのではないでしょうか。

このような高齢期の親の「不安解消」を子供であるあなたがお手伝いすることで、お互いにハッピーになれると思うのです。

そして、こうした高齢期の親の「不安解消」を手伝うことが、あなた自身がいずれ高齢期を迎えるときの“準備”となるのです。高齢社会の問題を考えることは、私たち自身の近未来を考えることです。それは、私たち自身の人生を振り返り、深く見つめ直すことでもあります。

この意味においても、高齢社会の問題は高齢者だけの問題ではありません。やや乱暴な言い方になりますが、年金財政がひっ迫するのは、高齢者が増えたためだけではありません。少子化で若年者が減ったためです。

認知症人口が増え続けているのは、高齢者が増えたためだけではありません。家族構造が大家族から核家族になり、近所付き合いが減り、一人暮らしで周囲から孤立して生活する人が増えたためです。また、食生活が欧米型の動物性たんぱく質の多いものになり、生活習慣病が増えたために、脳卒中になる人が増えたことにも原因があります。

高齢社会の問題を考えることで、私たち自身の生き方を考える。私たち自身の生き方を考えることで、私たちの未来をよりよくするために何が必要かを考える。ささやかながら、本連載がそのきっかけになればうれしく思います。

親が70歳を過ぎたら読む本

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