シニアの就労と医療費との関係

スマートシニア・ビジネスレビュー 2012823Vol.180

りんご農家一昨日午後に3つの打ち合わせをしたのですが、なぜか、偶然3つとも同じ話題が出ました。それはシニアの就労の話です。

 

最近、団塊世代を中心に60代の方から、

私のもとに退職のご挨拶が多く届きます。

 


その際に私は「退職後もできる限り何らかの仕事をして

年金以外の収入を得る方が、いきいきと過ごせますよ」と

アドバイスをしています。

 

これについては、拙著「スマート・エイジングという生き方」

第一部第二章に詳しく述べているのですが、

そこに掲載している興味深いグラフを

アドバイスの一つの根拠にしています。

 

そのグラフとは、「高齢者の有業率」を縦軸に、

「一人当たりの老人医療費」を横軸にして

都道府県別にデータをプロットしたものです。

ここで有業率とは仕事に就いている人の割合です。

 

グラフを見ると、長野県が有業率30%を超えて全国一高く、

一人当たりの老人医療費でも全国一少ないことがわかります。

 

つまり、仕事に就いている高齢者の割合が高い県ほど、

一人当たりの高齢者医療費も少ないのです。

 

長野県の後には、山形県、静岡県、鳥取県と続きます。

これらの4つの県の共通点は何でしょうか?

 

それは4つとも果物の産地として有名なことです。

 

長野県はりんご、山形県はさくらんぼ、静岡県はみかん、

鳥取県はナシ、がすぐに思い浮かびます。

つまり、4つの県は、果物農家が多いところなのです。

 

では、なぜ、果物農家が多いところは、

老人医療費が少ないのでしょうか?

 

第一に作業姿勢が稲作よりもよい。

稲作は田植えも稲刈りも中腰姿勢が多く、腰にきます。

これに対して果物は樹木の上の方にできるので、

中腰になる機会が比較的少ない。

 

第二に、果物は甘くて美味しいので作り甲斐が大きい。

もちろん、それなりの苦労はあるものの、

工夫すれば甘い果実が育つことが、

仕事として結構楽しい。

 

上記の二つは、もっともらしく書いていますが、

私の勝手な想像です。

別な理由をご存じの方はご一報ください。

 

私が委員を務めている中部経済産業局主催の

新ヘルスケアサービス産業創出懇談会で、

この話をしたことがあります。

 

その際に、懇談会の座長であいち健康の森

健康科学総合センター長の津下一代先生から

「愛知県は大農業県で、老人医療費が少ないのです」

というご指摘をいただきました。

 

あいち健康の森のある大府市も果物は有名だそうで、

そういえば、豊田市も自動車のイメージが強いですが、

実は愛知県第1位のナシの生産地でもあります。

 

また、5月に日本とスイスの専門家による

高齢社会に関する会議で

高齢者就労のパイオニアとして有名な

株式会社高齢社の有我昌時社長と

ご一緒する機会がありました。

 

その会議でも、この話をした際に、

「実は私は長野県松本市出身なんです」と

有我社長がおっしゃったのを聴いて、

「なるほど」と合点がいったものでした。

 

長野県に仕事で時々訪れる機会がありますが、

確かに長野県の経営者の方々は

ご年配でも元気な方が多いです。

 

こうした元気な方々の共通点は、

「自分の好きな仕事をしている」

ことだと思います。

 

人間は、自分の好きなことが仕事にできれば、

仕事は楽しくなります。

 

そして、仕事を楽しんだ結果として、

体力づくりにもつながり、

収入も得られれば、一挙両得です。

 

年をとっても体が健康であれば、

医療費・介護費は不要になり、

その分を旅行や観劇などに

振り向けることができます。

 

さらに、年金以外にお小遣いが入れば、

気持ちにゆとりが生まれ、

孫にプレゼントをあげるなどで

消費も増えるでしょう。

 

課題は、これだけメリットが多いことがわかっているのに、

就業できない高齢者の割合が依然高いことです。

 

これを今後いかに高めていくか。

日本だけでなく、これから高齢社会を迎える

諸外国にも共通の大きなテーマです。

 

 

参考:

年を重ねるのがたのしくなる「スマート・エイジングという生き方」


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