シニアビジネスで苦戦するもう一つの理由

スマートシニア・ビジネスレビュー 20121219Vol.187

日経MJ121219本日1219日の日経MJ(日経流通新聞)1面に「宝の山に落とし穴」と題して、シニアビジネスの苦戦事例から教訓を探るという記事が掲載されています。

 

今回の特集記事の特徴は、多くの事例とともに苦戦要因とその背景についてまとめてあることです。

 

例えば、ケース1のJTBシニアカレッジでは、「学び、長期は避ける」、ケース2のブリジストンスポーツのゴルフクラブでは「同世代キャラで暗示」、ケース3のそごう柏店のシニア向け店舗では「夫婦で買い物対応を」、という風に端的に整理されています。

 

ちなみに、プロトコーポレーションの会員制サービス「悠々知適(ゆうゆうちてき)」のコーナーで、時間消費型ビジネスの注意点についての私のコメントも掲載されています。

 

私が企業の皆さんから講演や相談を受ける時も「事例も踏まえて成功失敗要因が知りたい」というリクエストをよく受けます。シニアビジネスに関心のある方には大変参考になるでしょう。

 

一方、今回の記事では触れられていない重要なことをお伝えしましょう。

 

それは、シニアビジネスで苦戦する理由は大きく2つに分けられることです。一つは、今回の記事のように「シニア市場特有の性質」によるものです。一方、もう一つは、シニア市場に「新規事業として取り組むがゆえの難しさ」によるものです。

 

私が知る限り、後者の理由で苦戦している事例が実は圧倒的に多い。それは言い換えれば「新規事業の壁」で苦戦しているのです。

 

多くの企業と新規事業の立ち上げを実践してきた私のこれまで経験では、シニアビジネスで苦戦する場合、すでに収益事業が存在するなかで新規事業を立ち上げることに伴うさまざまな「壁」による部分が大きいと思います。

 

新規事業は、これまでやっていないことに新たに挑戦することです。だから容易ではありません。試行錯誤の連続で手間暇がかかります。収益化するのにもある程度時間がかかります。

 

このために、特に大企業においては、新規事業部門は常に「金食い虫」や「給料泥棒」と揶揄されがちです。足を引っ張られることも多々あります。

 

こうした社内の無理解が、新規事業を進める際の最大の障壁になります。「新規事業の敵は社内にあり」と言われるゆえんです。

 

したがって、こうした「新規事業の壁」をいかに突き破るかが、シニアビジネスを進めていくうえで極めて重要なのです。

 

この壁を突き破るには、企業組織というものの性質や社内政治を深く理解し、したたかに社内でのインサイドワークをやり続ける必要があります。

 

にも関わらず、これまで社内でおきまりのルーチーン業務ばかりをやってきた人が、「シニアを狙え」と上司に言われ、新規事業部門に配属になる例が少なくありません。これでは二重に苦戦しやすくなるのは当たり前です。

 

だから、大切なことは、シニア市場に新規事業で取り組む際には、シニア市場の性質を深く理解することに加えて、社内組織を新規事業が取り組みやすい体制にすることがきわめて重要です。

 

(そのヒントについては、拙著「団塊・シニアビジネス7つの発想転換」の第7章で述べているのでご興味のある方はご一読ください。)


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