アメリカの変革、もう一つの視点

スマートシニア・ビジネスレビュー 2009年1月22日 Vol.124

obama正月明けから半年振りにアメリカに出張した。オバマ大統領就任式の直前には首都ワシントンにもいた。

 

不景気の波はアメリカ中で見られた。

首都ワシントンの街を歩くと「入居者募集」の看板のついた事務所の空室がやたらと目に付いた。

 

タクシーの運転手は「リストラでレイオフが増え、

客が半分になってしまった」とぼやいていた。

 

現地は最高気温が零下6度、最低気温が零下15度で

北海道よりも寒かった。

不景気のせいか、空気が余計冷く感じた。

 

こうした暗いムードが漂うなかでの人々の一点の希望は、

オバマ新大統領の登場だ。

 

アメリカ人のオバマに対する期待が

本当に大きいことを至る所で感じた。

それは大統領就任式に空前の人数が

集まったことにも現れている。

 

だが、あまりに高い期待を戒める声も聞こえてくる。

大統領就任式の2日前にアメリカ人の友人が送ってきた

次の文章が印象に残った。

 「8年前にブッシュが政権に就いた時、我々は希望を持っていた。しかし、その希望は政権一期目にカール・ローブとディック・チェイニーの暗躍が暴露されるにつれ、失望に代わった。そして、たった4年の失敗がどれだけ政権に損害を与えるのかも知った。ブッシュに代わる次の政権を期待したところ、9・11がやってきた。」

 

「最初のショックが治まった段階で、9・11を起こした何人かの人たちを『生まれながらの悪』と見做すのではない別の見方をしていた。それは、一人のテロリストがテロリスト国家を創ることはできないが、恐怖に怯えた人々はテロリスト国家をつくることができる、ということだ。」

 

友人のこの文章を読んで、彼の鋭い洞察力に感心したと共に、

アメリカという国の底力を感じた。

彼のような「自浄力」をもつ人は実は他にも多く存在するからだ。

 

アメリカという国はカウンターカルチャーの国だと言った人がいる。

この意味は、超保守派から極左翼まで、生き馬の目を抜く悪徳商人から

天使のような無私の人まで、常に両極端の考えが対峙し、拮抗して、

そのバランスのうえで成立している国だという意味だ。

 

友人は言う。アメリカ大統領はアメリカ国民の意識の反映に過ぎない、と。

だから、オバマが大統領になったのは、

アメリカ人の意識がオバマという人間を大統領に仕立てたということだ。

この意味でブッシュが大統領に選ばれた時も同じ構造である。

 

友人が訴えるこうした言葉は、単にアメリカ一国の話には聞こえない。

それは日本という国家、我々日本人にもそのまま当てはまるからだ。

人気がどん底まで低迷した麻生首相が首相になったとき、

多くの期待と共に支持をしたのは我々国民ではなかったか。

 

オバマは国家の「チェンジ(変革)」を掲げて大統領になった。

しかし、国家を変革するのは、実は大統領ではない。

国家を変革するには国民一人ひとりの「意識の変革」こそが必要なのだ。

 

そのことを改めて感じた今回のアメリカ出張だった。

  

 

参考情報

 

スマートシニア・ビジネスレビュー 2007年8月1日 Vol. 107

政治家に国民の声を伝える術・日米比較

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