アナログ名曲のデジタル化で見えるもの

スマートシニア・ビジネスレビュー 2007年10月9日 Vol. 109

analog-record-player出張が多い私は移動中に音楽を聴くことが多い。
最近はアップルのiPodで聴くのがもっぱらになっている。

しかし、ふとしたことから昔の名曲を聴きたい衝動に駆られることがある。その場合まず、iTunes (iPod専用の音楽ソフト)で該当の曲があるか調べる。ところがiTunesには最新の曲はたいていあるが、昔の名曲はまだ少ない。

次にアマゾンで該当の曲が入っているCDがあるか調べる。
この場合、大ヒット曲ならばCDが存在する確率が高いが、
そうでない場合は見つからないことが多い。

そうなると、自宅の押入れで眠っているアナログレコードを聴いてみたくなる。
従来アナログからデジタルへ信号を変換するには、
パソコンで特殊な操作が必要なものばかりだった。
しかし、最近はレコードプレーヤーのアナログ信号を簡便に
直接MP3というデジタル信号に変換できる道具が多く出てきた。

こうしてアナログ名曲をiPodで聴くことができると、これが実に新鮮だ。
だが、それは単に数十年前の名曲が懐かしいということにとどまらない。

面白いのは、昔は気づかなかった音の存在に気づいたり、
当時聞き取れなかった英語の歌詞が目に浮かぶようになることだ。
さらに、当時はなんとなくわかった気になっていた歌詞の
本当の意味もわかるようになるから不思議である。

たとえば、60年代後半から70年代にアメリカで活躍した
クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルというロックバンドがある。
日本では通称CCRと呼ばれ、「雨を見たかい」という曲が大ヒットした。
この曲は数年前にサザンオールスターズの桑田佳祐のカバーで
テレビCMで流れて再びヒットしたものだ。


この曲がヒットした1971年当時は、曲の原タイトル
Have you ever seen the rain? (雨を見たかい)の意味は全くわからなかった。
しかし、その歌詞を今改めて聴くと、実はこんな内容であることを知る。

Someone told me long ago there’s calm before the storm,
I know; it’s been comin’ for some time.
When it’s over, so they say, it’ll rain a sunny day,
I know; shinin’ down like water.

I want to know, have you ever seen the rain?
I want to know, have you ever seen the rain?
Comin’ down on a sunny day?

ずっと昔に、嵐の前の静けさがあることを誰かに聞いた
それがいつか来ることを知っている
雨が上がったら時、だから、みんな言う、晴れた日に雨を降らす
雨のように太陽が照ると知っている

僕は知りたい 君は雨を見たことがあるかい?
僕は知りたい 君は雨を見たことがあるかい?
天気のいい日に降り注ぐ雨を

ここでいう“雨”とは、実はナパーム弾の“雨”のことだ。
CCRが活躍した時期はちょうどベトナム戦争が激しくなっていった時期で、
ベトナム戦線で米軍によるナパーム弾の“雨”が激しく降っていた頃である。

この歌はそれに対する反戦歌だったのだ。
このためにいくつかの州では放送禁止になったらしい。
しかし、私がこの曲を聴いた小学生の頃には、
この歌にそんな意味が込められていたことを全く知るよしもなかった。

私以外の方には当時からこの歌詞の意味を
ご存知だった方ももちろんいらっしゃることだろう。

この曲はあくまで一つの例に過ぎない。
重要なのは、アナログ音源のデジタル化によって
昔見えなかったものが見えてくることにある。

つまり、何十年前に聴いた曲を、今聴き直すという行為が
今まで見えなかったものに気がつく
“きっかけ”になるということだ。

それは、昔の曲を鏡にして、
今の自分を知る、ということなのである。

この作業、ぜひ、お勧めする。

 

●参考情報

リタイア・モラトリアム - すぐに退職しない団塊世代は何を変えるか
(日本経済新聞出版社)

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