消費の「機会損失」をチャンスに変える

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高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第21回

ボヘミアン・ラプソディの魅力は伝説的ライブの臨場体験

昨年最大の話題作のひとつとなった映画『ボヘミアン・ラプソディ』は、2018年11月9日、日本での劇場公開から昨年末までに動員860万人、興行収入119億円を突破し、最終興行収入124億円も視野に入ってきました。

『スターウォーズ/フォースの覚醒』の116億円を超え、2018年洋画興行収入ランキング第1位に就く見込みです。アカデミー賞では、主演男優賞、編集賞、音響編集賞、録音賞の最多4部門を受賞しました。

この映画の魅力は単なる映画ではないこと。10万人以上が参加した34年前の伝説的音楽ライブの臨場体験が得られることです。

これが魅力のため、何度も映画館に足を運ぶリピーターが多いのが特徴です。客層は20代から60代まで幅広いですが、中心はクイーン世代の50代。クイーンの曲をよく知っている人もいれば、そうでなかった人もいます。

映画のクライマックスで臨場感あふれるライブエイドのシーンでは、映画を観ている人はあたかも85年のライブエイドの会場にいるかのような気になります。

映画館を出た直後には映画の余韻を楽しむ仕掛けがあると消費する

クイーンの持ち時間20分間が終わると共に映画もエンドロールに入ります。エンドロールが終わっても多くの人はしばらく余韻に浸り、その後ゆっくりと劇場を出ます。

そして映画館入口の売店に寄って「あるもの」を探索しますが見つけることができません。「あるもの」とは映画のサントラ盤CDや、クイーンの過去のCDやDVDなどです。

かつて私は拙著「シニアシフトの衝撃」で、当時の東急文化村を例に書いたことを思いだしました。

こんな映画を観た後に、映画館の隣にクイーンの関連グッズが置いてあり、その隣のカフェに入ったら、映画や音楽の話を肴にしながら、美味しい食事やワインが楽しめる。

こういった来場者の心理的カタルシスが継続して得られるように導線が設計されていれば、そのような場所はさぞ居心地がよく、思わず滞在時間が長くなり、時間が経てば経つほど、自然に喜んでお金を使うことでしょう。

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