東北大学が企業の健康寿命延伸ビジネスを支援

シルバー産業新聞 連載「半歩先の団塊・シニアビジネス」第96回

sapiatower脱・介護保険依存事業をどう探索するか

本年4月からの介護報酬改訂を受けて、介護サービス事業者のなかには事業の抜本的見直しを検討されているところも多いようだ。介護保険に依存しない事業へシフトしたいとの相談が私のところにも寄せられている。そこで、本稿では私の所属する東北大学加齢医学研究所の新たな取り組みをご紹介したい。

東北大学では複数の異業種企業の健康寿命延伸ビジネスのイノベーションを支援する「東北大学スマート・エイジング・カレッジ(SAC)東京」を15年4月より東京・丸の内の東北大学東京分室に設立する。

東北大学の精鋭教授陣が、企業の経営者・実務担当者に対して、「加齢医学の基礎」から「シニアビジネス」まで最先端の研究開発動向と事業化の知恵を包括的に提供し、民間企業の健康寿命延伸ビジネス開発を支援するものだ。

3月26日現在、大手企業を中心に33社の参加が決定、パラマウントベッド、パナソニックなど介護サービス関連企業も数社参加している。

実施の背景とねらい

政府が「国民の『健康寿命』の延伸」を重点施策として掲げて以来、企業においても健康寿命延伸ビジネスのための研究開発が増えている。しかし、近年市場変化の速度が速くなり、民間企業において長期的な研究開発の継続が難しくなってきた。

シルバー経済新聞さらに、事業化活動においても各分野の専門性がより求められるのと同時に、分野横断的な理解と研究開発から事業化への橋渡しができるプロデューサーの役割も重要となっている。

しかし、そうした高い専門性をもちつつ、異分野を統合的に理解して、研究開発を収益事業に発展させる研究者・企画者を民間企業1社で抱えるのはかなり困難だ。

一方、東北大学では、12年4月よりスマート・エイジング国際共同研究センター主催で、学内の文系・理系異分野の40人の教授陣からなる「スマート・エイジング・カレッジ」を運営し、市民公募で選抜された30代から80代の受講生を対象に、健康寿命延伸のための啓蒙教育を実践してきた。

この3年間の実践ノウハウをもとに、今回のSAC東京は、企業の経営者・実務担当者に対して健康寿命延伸ビジネスに必要な最先端の研究開発動向と事業化のための知恵を包括的・網羅的に提供する。同時に多くの異分野の専門家とのディスカッション機会を通じて、企業で健康寿命延伸ビジネス開発を推進する人材を支援するものだ。

活動の概要

(1)月例会:毎月1回(第4木曜日)東北大学東京分室において講師陣によるレクチャーと参加企業との間でディスカッションを行う。終了後、講師陣と参加企業との交流会を開催する。

講師陣は、脳機能開発研究、脳の発達研究、運動学研究、血管生物学、免疫機能学、高次脳機能研究といった加齢医学分野に加えて、化粧心理学、コーチング研究、予防医学・疫学部門といった社会応用分野、さらには加齢経済学、シニアビジネスまで、各分野のトップランナーが勢ぞろいしている。

(2)企業発表討論会:年3回、参加企業間で互いの活動内容を理解し、川島所長はじめ他の教授陣と意見交換するための企業発表討論会を開催する。企業発表討論会は仙台の東北大学で1回、東京の東北大学東京分室で2回開催する。

(3)キャンパスツアー:東北大学の研究環境・研究シーズを把握いただくために、仙台の東北大学キャンパスツアーを行う。訪問先は加齢医学研究所、スマート・エイジング国際共同研究センター、東北メディカル・メガバンク機構などを予定。通常は企業には公開しない実験装置などもご覧いただく予定だ。

民間企業の参加メリット

民間企業の参加メリットは、①健康寿命延伸・スマート・エイジングに関する最先端研究動向・業界動向がわかること、②加齢医学の基礎からシニアビジネスまで健康寿命延伸のための商品・サービス開発に役立つ知識が体系的に得られること、③各分野の第一人者・世界トップクラスの研究者である東北大学の精鋭教授陣との人的ネットワークが深まることだ。

まとめれば、研究開発・事業開発活動におけるさまざまなバリアを乗り越える「社外ブレーン」を得られることになる。

月例会第一回は4月23日開催で、脳トレで有名な加齢医学研究所長の川島隆太教授が「スマート・エイジング概論」をテーマに講義する。参加費は年間1人1口30万円で1企業最大2口まで参加可能。本稿が掲載されるまでに残席があるかはわからないが、ご興味のある方は事務局までご連絡ください。
電話03-5549-1699、sact@idac.tohoku.ac.jp

東北大学スマート・エイジング・カレッジ東京

シルバー産業新聞

スマート・エイジングという生き方

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