シニアビジネスの未来は?超高齢社会・日本の10年前の失敗から学ぶ

週刊朝鮮(韓国) 2013114日号 

週刊朝鮮131104対談韓国のメジャー週刊誌、週刊朝鮮に韓国有識者との対談記事が掲載されました。この対談は、昨年1028日にソウルで開催された国際シニアビジネスコンファレンスに招待講演者として参加した際、宿泊先のホテルで行ったものです。

 

対談相手は、漢陽大学高齢社会研究所のキム・ユンシン所長で、キム所長の質問に対して私が答える形で行われました。キム所長は流暢な日本語を話しましたが、週刊誌の記者は日本語が話せないため、時々英語を交えての対談となりました。

 

「日本の10年前の失敗から学ぶ」というタイトルは、韓国の読者に対してアピールするものなのでしょう。私の印象では、今の韓国のシニアビジネスへの取り組み状況は、ちょうど2000年頃の日本の状況に似ています。

 

「シニアビジネスがこれから重要になる」「巨大なシルバー市場が出現する」といった期待先行で、コンファレンスや展示会、イベントが増えていますが、具体的な商品・サービスがまだ少ないといった状況です。

 

以下、韓国語のサイトに掲載の内容を翻訳したものを掲載します。読んでみると、結構きちんと整理されていることがわかります。

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シニアビジネスの未来は?

超高齢社会・日本の10年前の失敗から学ぶ

東北大学加齢医学研究所村田裕之教授vs漢陽大学高齢社会研究所キム・ユンシン所長

 

2012年韓国の65歳以上の高齢人口は13%。2026年には人口の20%以上が高齢者である「超高齢社会」への突入が予想される。これにより高齢者層をターゲットにしたシニア産業の爆発的な成長が見込まれる。201031兆ウォンだったシニア市場の規模は2020年に116兆ウォンに達し、年間12.9%の成長と予測されている。

 

シニア市場の特徴と成功の秘訣は何だろうか。超高齢社会・日本から学ぶために、日韓両国の専門家が会った。日本のシニアビジネス界の第一人者と呼ばれる東北大学加齢医学研究所村田裕之教授と漢陽大学高齢社会研究所キム・ユンシン所長だ。「ソウルシニアフェスティバル」に招待され、韓国を訪れた村田教授をキム・ユンシン院長と一緒に去る1028日、ソウル明洞(ミョンドン)のホテルカフェで会った。

 

村田裕之教授は、日本の高齢社会研究の先駆者であり、シニアビジネスの第一人者として知られる。800社以上の企業のシニアビジネスをコンサルティングしている。「シニアシフトの衝撃」などの書籍を執筆し、韓国では「グレーマーケットがやって来る」(中央ブックス)として翻訳出版されている。彼はアメリカのシニアビジネスのシンクタンクである「ザ•ソサエティ」の唯一の日本人メンバーでもある。

 

漢陽大学は私立大学では最も早い時期の2008年に高齢社会研究を始めた。特に長寿医学の研究チーム、老人性疾患制御研究チーム、高齢者向け産業の研究チーム、少子高齢化政策の研究チームなどの関連事案の融合研究を通じて、高齢化問題の解決策を研究してきた。

 

キム・ユンシン:高齢化の問題は、国の成長と持続可能性のための決定的な事項なので、国家レベルで対応しなければならない。日本は、高齢者人口が17.3%に達し、2000年に介護保険法を施行した。導入後、シニア産業に与えた影響は何か。

 

村田裕之:市場がものすごく大きくなった。民間企業が積極的にシニアをターゲットにした製品を発売して大成功を収めた事例が多い。NTTドコモは「らくらくホン」で大成功を収めた。高齢者が使いやすい携帯電話を考案し、これまで2200万台以上売れた。この製品を作るときに私が協力した。JRは、シニアのための旅行割引プログラムを開始して成功した。

 

キム・ユンシン:日本では10年ほど前、シニア市場が大きくなることを見込んで企業が市場に参入したが、市場予測に失敗し、莫大な授業料を払ったことがある。シニア市場で成功するための重要な要素は何か。

 

村田裕之:当時日本の多くの企業がシニア市場の規模だけを見て参入したが、高齢者が意外にお金を使わなかった。日本の高齢者は、資産リッチ、所得プア層である。不動産資産は多いが、現金があまりない。試行錯誤の後、成功した企業は、「3つの不」の解消を上手に行っていることが分かった。「3つの不」とは健康不安、経済不安、孤独不安である。私が日本に初めて紹介した女性専用フィットネスクラブ「カーブス」が代表的事例だ。日本国内に1200店以上のチェーンがあり、韓国にもある。カーブスにはシャワー、鏡と男性がいない。運動に不必要な要素を排除して安価に利用できるようにしたことが成功要因の一つだ。コンビニとスーパーを融合した形態の店舗「ローソンストア100」も成功した事例だ。少量のパッケージが100円前後で売っている。一組入りのサンドイッチ、卵四個パックはこのような小口対応商品である。

 

キム・ユンシン:時代に応じて、高齢者の意識の変化が大きい。韓国では高齢者を「保護」の対象から「自立」の対象に転換すべきだという主張も提起された。高齢者は高齢者扱いされることを好まない。高齢者の認識の変化と関連して、シニアビジネスの留意点は。

 

村田裕之:シニアが認知する本人の年齢は実際より10歳ほど若い。シニアだけターゲットにした「年齢マーケティング」をする時には注意が必要である。かつて大手化粧品会社が、50代の女性向けの化粧品を発売したが失敗した。女性はあえて高齢の人が使用する化粧品を買いたいと思わないだろう。一方、大丸松坂屋百貨店は60代の女性のための「マダムセレクション」という店で成功した。シニアターゲットのビジネスは、商品カテゴリー別には非常に丁寧に対処しなければならない。シニア市場の特徴は、マスマーケットではなく、多様なミクロ市場の集合体だ。従来の大量生産、大量流通に精通している企業が同じような方法で取り組むと失敗する可能性が大きい。

 

キム・ユンシン:数年前、韓国でシニアビジネスの展望関連学会を開催した。結論は、ビジョンがないということであった。日本と韓国は、高齢者の経済力が違う。日本の場合、実質金融資産の80%程度を60歳以上が保有しているが、韓国の高齢者たちは貧しい人々である。韓国の高齢者の特徴を勘案した時どのように対応すべきか。

 

村田裕之:日本は65歳以上の高齢者が人口の25%だが、韓国はまだ13%で相対的に若い。問題は、韓国が今後20年間で過去の日本よりもっと速いスピードで高齢化が進むという事実だ。今後、日本や韓国のGDPはあまり大きな変化がないと思われ、社会の高齢化が進むと財源が不足する。日本の場合、民間企業が主導的にシニア産業に取り組んだが、韓国ではまだそうした意識がないようだ。日本の10年前と現在の韓国の状況が似ている。日本も当時は、ほとんどの企業がシニアマーケットはまだ早いと判断して軽視したが、その後いくつかの企業が大成功を収め、市場の見方が変わった。

 

キム・ユンシン:韓国の高齢者が貧困になったのは、親の養育方法のせいもある。子の結婚資金まで面倒みるので、老後の資金が不足する。笑い話で「子供にお金を与えるキャンペーンをしよう」という話も出ている。

 

村田裕之:日本もかつては同じだ。日本の親も子供への経済的支援を惜しまなかった。そうするうちに、老後に貧困になった親たちを見て「私は親のようにはなりたくない」と認識が変わったのだ。団塊の世代は上の世代と子に対する考えが違う。特に女性の場合、「子よりも私自身のために資産を使う」という考えを持っている場合が多い。

 

キム・ユンシン:韓国退職者の最大の関心事は再就職です。そして、高齢者の雇用を単に手配してくれることよりも重要なのは、退職後の人生を自分で設計するのに役立つ何かです。このため、漢陽大は日本の東京大学と立教大学との交流を通じて、2013年に「スマート生涯設計」の教育プログラムを運営中で、受講生の満足度が高い。

 

村田裕之:それは大変優れたプログラムである。再就職機会があるだけでは高齢社会問題の根本的な解決にはならない。幸せな老後のために自分の好きな人生を主導的に計画し、実践することが重要である。

 

 

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