高額商品でもシニアが繰り返し買う理由とは?

ビジネス切り口別

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第19回

常に売り切れの高額商品「ななつ星in九州」

シニアの高額商品購入動機の例としてJR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」が挙げられます。

料金は、2024年4月出発分で、3泊4日コースで最も低い価格が2人1室利用で1人当たり125万円
最高の「DXスイートA」では170万円とかなり高額です。

しかし、約半年前の発売でも、毎回抽選倍率4倍。購入者は60歳代が中心です。

年齢層が買う理由は「解放段階」と「ライフステージの変わり目

これだけの高額ツアーをこの年齢層が買う理由は、いったい何でしょうか?

第一に、この年齢層が「解放段階」と呼ばれる心理的発達段階に達していることが挙げられます。

老年心理学者のコーエンによれば、この段階には脳の潜在能力が発達し、新たな活動や役割に挑戦する
エネルギーが湧きやすくなっている
とのことです。

第二に、この年齢層は退職や子育て終了、親の介護の終了など、ライフステージの変わり目が多いことが挙げられます。

これらの理由から心理面の変化が起きやすく、「もう人生長くないのだから自分のやりたいことをやろう」という気持ちが湧きやすくなり、新たな行動を後押しします。

その結果、富裕層でなくても、「これを逃したら二度と乗れない」と思えば、へそくりをはたいてでも
参加しています

実際、第一期に千葉県から参加した65歳の女性は普通の介護職員でした。

脳の「報酬系」の活性化がカギ

一方、「ななつ星in九州」の利用者にはリピーターが非常に多いようです。

高額商品を何度も利用したくなるのは、もてなしの質が高いこと以外に、実は「別の理由」があります。

このように「半年後に念願の『ななつ星in九州』に行くと決めて、既にチケットも予約してあり、その日が来るのを待っている時」、つまり「嬉しい出来事が確実に起きると予想された時」には、脳内の「報酬系」と呼ばれる神経系が活性化することがわかっています。

こういう時には脳内に「ドーパミン」と呼ばれる神経伝達物質が放出され、「わくわく感」を感じてモチベーションが上がります。

そして、旅行に行って嬉しい出来事を満喫すると、その達成感でさらにドーパミンが放出されます。

こうした感覚を一度体験すると、さらにこの「わくわく感」を求めて次の嬉しい出来事を設定したくなります。「ななつ星in九州」や豪華クルーズのような高額商品にリピーターが多いのはこれが理由です。

もちろん、高額に見合う満足感が得られることが前提ですが、参加者が「報酬系」をいかに活性化するか、その支援をできるかがカギです。

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