「一人でも楽しめる」商品をつくる

ビジネス切り口別
ララの旅の様子

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第28回

旦那と旅行してもつまらないから、一人で参加する旅

社会の高齢化が進むと一人暮らし世帯が増えます。しかし、一人暮らし世帯でなくても、特に旅行などでは「一人で楽しみたい」という人たちもかなり存在します。

クラブツーリズムが提供している「ララの旅」は、そのような「一人で参加して楽しみたい人」向けの「おひとり参加限定」の旅行商品です。

ただし、「おひとり参加限定」といっても、独身や未亡人でないとダメという意味ではなく、あくまでも旅行への参加は一人で、という意味です。

「旦那と旅行してもつまらないから、一人で参加する」という高齢女性も結構いるために、こうしたニーズの受け皿にしているのです。

内容はさまざまで、コンサート、芸術鑑賞などのエンターテインメント型旅行、講師が同行していろいろな散歩を楽しむ「ララ散歩」、毎月の誕生日の人を集める「誕生日交流会」などの工夫を凝らしています。

人気があるのは、一人では行きにくい所への旅

一人で参加しても旅の最中は一人ではなく、似たような境遇の人たちと一緒です。こうした人たちとの「さりげない出会い」の機会も魅力の一つです。

ララの旅で人気があるのは、一人では行きにくい所への旅です。たとえば、古い温泉旅館などでは、中高年の女性客が一人で行くと、旅館の人から「この人は何しに来たのだろう?自殺でもされたら困る」といぶかしがられることもあります。

また、沖縄のようなビーチリゾート的なところは、一人では行きづらいですが、こうした形態のツアーなら参加しやすくなります。

かつて私はバッグパッカーをしていたことがあり、一人で世界中を旅した経験があります。「一人で旅をして孤独でないですか?」と時々言われたことがありますが、実はそういう感覚はあまりありません。

その理由は、一人旅をしている方が旅先で似たような人との出会いの機会が多く、新鮮で楽しいからです。

高齢になるにつれ出会いの機会が減りがちなので、こうしたサービスは平板な毎日に新しい刺激を提供してくれます。

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