「不」の解消とネット通販がカギ

月刊「商工会」7月号 特集 高齢者に優しいビジネス

ウィズコロナでシニアの消費形態はどう変わったか?

新型コロナウイルス感染症の蔓延は私たちの生活に多大な影響を与えた。コロナ禍でシニアの消費形態がどう変わったのかを改めて整理してみたい。

1.非接触エコノミーの拡大

ウイルス感染防止のために可能な限り接触を減らすのが原則だ。これより「非接触で価値を提供する」経済活動が増えた。

まず、通信販売利用者が増えた。非接触徹底のため「置き配」や宅配ボックスの利用が増えた。また、買い物代行利用者も増え、利用者の減ったタクシー業界も参入した。

飲食店では自粛期間中は弁当販売、テイクアウト、デリバリーへシフトした。自粛解除後は客席間の距離を広くすること、来店者のマスク着用・消毒の徹底が常識化した。配膳ロボットで店のスタッフとの接触を減らす試みも現れた。

さらに小売店では来店者のマスク着用・消毒の徹底に加え、レジではビニールシートを設置、商品や現金の受渡し時に接触しないようになった。

また、テレワークが普及し、Zoomなどパソコンでのテレビ会議が常態化した。自粛期間中は大勢集まる会議ができないためセミナー等は全てオンラインにシフトした。暫定的だがオンライン診療も解禁された。

こうした「非接触エコノミー」は、Withコロナが続く限り、都市部だけでなく地域でも拡大していくだろう。

2.「巣ごもり消費」と「安・近・短消費」

感染リスクの高いシニア層は自粛要請で外出を控えるようになったが、自粛解除になっても無用な外出を控える傾向が続いている。

また、自粛解除後も他県への移動など長距離移動ができないため、費用をかけずに、近場に短期間で行けるミニ旅行が増えている。いわゆる「巣ごもり消費」と「安・近・短消費」がしばらく続くだろう。

3.倹約と出費を区分する「メリハリ消費」

シニア層は、コロナ禍前でも長生きリスクを想定して、いざという時のために倹約志向が強かった。コロナ禍後は社会全体の先行き不安が常態化し、一段と倹約志向が強まっている

一方で自粛疲れ・倹約疲れも出るため、倹約と出費を区分する「メリハリ消費」が地域でも見られるだろう。

4.健康志向の拡大

自粛期間中、在宅時間が長くなり、運動不足のため、朝夕にウォーキングやジョギングをする人の割合が増えた。これは自粛解除後も継続傾向にある。

また、岡江久美子さんが亡くなったのを機に、コロナ対策として免疫力を高めることの重要性が広く知られたことで、健康志向が一段と強まった。

ポストコロナ時代の地域におけるシニアビジネスとは?

1.「新しい生活様式」の「不」を解消する

政府が求める「新しい生活様式」オンラインの活用がある。だが、これはITに疎いシニア層には不便だ。この解消の受け皿としてテレビで楽に使えるコミュニケーション手段が、スタートアップのチカク(東京・渋谷)が提供する「まごチャンネル」だ。

このサービスでは「家」の形をした専用端末を自宅の大画面テレビとケーブルでつなぐだけで遠く離れた孫や子供の様子を見ることができる。端末にはSIMカードを内蔵しておりネット環境がないシニアでも利用できる。大型連休に帰省できない子・孫のオンライン帰省手段として注目を浴びた。

ポストコロナの時代でもシニアビジネスの基本は「不」の解消だ。身近なシニア顧客の「不」を見つけて解消することがビジネスチャンスになる。

2.地域の強みのある商品をネット通販で健康志向の強いシニアに売る

一方、シニア層でもネット利用者は外出自粛を機に通販利用が増えた。また、レストランや給食等業務用の食材が余ったため、地域の生産者が消費者にネットで直販する事例が増えた。

例えば、新潟県長岡市栃尾地区はジャンボ油揚げで有名だが人口18,000人で過疎化が進んでおり、地域の市場は小さい。

油揚げ店の豆撰はネット通販に力を入れ、新潟産100%の大豆を使用するなど安全性をPRし、首都圏を中心に全国に販路を広げている。

人口減の地域小売店こそ、ネット通販の活用を「ニューノーマル」にすべきだ。

成功するシニアビジネスの教科書

月刊「商工会」

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