何がほしいか考えるのは消費者の仕事ではない

スマートシニア・ビジネスレビュー 2011106Vol.165

image米アップル会長のスティーブ・ジョブズ氏が亡くなった。日経新聞電子版の追悼記事にある次の表現が目に留まった。

 

「何がほしいか考えるのは消費者の仕事ではない」と

市場調査はあてにしなかった。

自分がほしいかどうか。自らの感性を判断基準とした。

特にこだわったのは製品の美しさだ。

携帯電話の表面に並ぶ数字や文字の操作キーも、

ジョブズ氏の目には醜いブツブツとしか映らなかった。

iPhoneがキーがないタッチパネル操作となったのも審美眼の結果だ。

(出所:日本経済新聞電子版106日 コンピューターをポケットに 時代を先導したジョブズ氏)

 

この記事が目に留まった理由は、全くの偶然なのだが、

拙著「団塊・シニアビジネス7つの発想転換」の第1章のタイトルが

『市場調査はあてにするな - 「デジタル分析」から「アナログ直感」へ』だからだ。

image拙著で取り上げたのは、当時まだ登場していないiPhoneではなく、ソニーのウォークマンのエピソードだった。

 

カセットテープやCDなどのメディアを使用するソニーのウォークマンは、皮肉にもこうしたメディアを使わずに済むiPodiPhoneにとって代わった。

 

しかし、ウォークマンとiPodiPhoneには共通の物語がある。

それは革新的なヒット商品のアイデアというのは、

市場調査からは生まれないということだ。

 

ソニーがウォークマンを商品化する以前に、

ウォークマンのようなものを商品化したところはなかった。

しかし、一度ウォークマンという商品が具体的に目の前に出現すると、

「こういうのが欲しかった」という人が大勢現れた。

 

imageiPodiPhone同じだ。

これらが商品化される以前にはiPodiPhoneはなかった。

そして、一度具体的な商品が市場に現れると爆発的に売れた。

 

こうした商品のニーズは、

多くの消費者のなかに潜在的には存在していたのが、

商品化される以前に、そのニーズが

消費者の側から具体的に顕在化することはなかった。

 

なぜなら、多くの場合、消費者自身がそうしたニーズの存在に気がついていなかったからだ。

 

だから、表層的な意識レベルの情報しか把握できない

ネットアンケートやグループインタビューをいくら綿密に行なっても、

革新的なヒット商品のアイデアは生まれてこないのである。

 

1996年に瀕死の状態だったアップルに戻ったジョブズ氏は、

社内の経営会議でこう語った。

 

「ネット時代を迎え、個人が情報を簡単にやり取りできる、

気持ちをわくわくさせる商品を提供しよう」

 

ジョブズ氏のこの言葉は、何もIT機器やサービスに限らない。

団塊世代・シニア世代に対する商品・サービスでも同じだろう。

 

単に安いとか、品質がよいというだけではない、

「気持ちがわくわくする」商品こそが、

閉塞感あふれる超高齢社会に必要なのだ。

 

多くの示唆を与えてくれた

ジョブズ氏のご冥福を心よりお祈りしたい。

 

●参考

 

市場調査はあてにするな - 「デジタル分析」から「アナログ直感」へ

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