特集 再び注目される「団塊シニアマーケット」研究

2011年12月26日 くらしHOWマガジン Vol.6 

くらしHOW_Vol.06_1201_表紙2リビング新聞グループのくらしHOW研究所が発行するマーケティング情報誌「くらしHOWマガジン」の特集『再び注目される「団塊シニアマーケット」研究』に、私のインタビュー記事が掲載されました。また、特集冒頭イントロダクションの監修も務めました。

 

表紙に「リタイア・モラトリアムに揺れる女ゴコロ」とのキャッチコピーがあります。この「リタイア・モラトリアム」とは、私が2007年に上梓した著書のタイトルであり、2007年問題と当時呼ばれた社会現象を私なりに解釈したものでしたが、5年経った今でも、その考え方の根本は間違っていないと思っています。

 

今回の特集には、とりわけ女性の視点でシニア女性向けインタビューにもとづく詳細な調査結果も盛り込まれており、最新の市場情報としても大変有用な価値のある内容になっていると思います。

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introduction 〜団塊シニアマーケットの5つの基礎知識

50代と60代で大きく異なるミセスの気持ち

今度こそ「大量退職時代」が始まる?2007年に肩透かしを食った市場は、団塊世代(1947年〜1949年生まれ)の最年長者が65歳を迎える今年に、再び熱い注目を浴びている。

また2010年に50歳以上人口が総人口の43%となり、今後も増え続けるという事実が、やはりシニアビジネスへの期待を後押しする。

が、団塊シニアとか50代以上の元気な女性などと、年齢だけでざっくりと「シニアビジネス」を捉えると、大きな落とし穴にはまると言う。「シニアビジネス」を考えるときの5つの基礎知識をおさらいしておこう。

 

資産はあるけど倹約志向?

 

高齢者には「65歳以上」という定義がある。これは社会保障予算上、必要なために作られた社会的定義だ。一方でシニアという言葉にはもともと特定の年齢の意味はないが、欧米の例ではおおむね60歳以上を指すことが多い。したがって、ここでは、60歳以上の市場を「シニアマーケット」として話を進めたい。

5つの基礎知識」(左ページ上)の1番目は、もはや前提条件。総人口は2004年をピークに減り続けるのに高齢者人口は増え続けるのだから、特殊なビジネスではなく、ほぼ全産業分野で対応が求められることになるだろう。

2番目以降が共有しておきたいポイント。世帯主の年齢別に正味金融資産(貯蓄–負債)や持ち家率(グラフ①)を見ると、60代以上が断然多い。が、世帯所得の分布を見ると(グラフ②)65歳以上の高齢者世帯所得が400万円未満に集中しているのが分かる。平均所得金額が307・9万円。年金生活だから当然だが、全世帯の平均所得金額以下の世帯が9割に及び、「ストック・リッチ、フロー・プア」と言える。

いざというときのお金はあるが、普段の消費に気安く回るわけではない。もちろん教育費から解放された分が全て自分たちに充てられるので、頻繁に旅行などを楽しむ人も多いが、普段は倹約しているのだろう。以前「100兆円市場」などと喧伝されたこともあったが、実態を知ることが大事だ。

くらしHOW_Vol.6_1201_intro2

 

シニアマーケットは

女性が動かす

 

平均寿命世界一を誇る日本女性、210年で8639歳と、男性(7964歳)より7年は長生きするだけに、60歳を過ぎたら女性のほうがどんどん多くなる(グラフ③)。それでなくても、団塊世代以上の男性は高度成長期を支えてきた企業戦士が多く、定年後いきなり家庭や地域に戻っても奥さんに頼るしかない。明らかにマーケットは女性主導だ。

ここで問題なのは、女性のライフステージは本人の年齢より家族のライフステージに左右されることだ。女性がセカンドライフを考え始めるのは、まず子どもが社会人になったとき、夫が定年退職したとき、親の介護が終わったときなど、人によって様々。

夫のほうは、定年退職を境に大きなステップの階段を下りる感じだが、妻のほうは夫より早めに、子どもの卒業、就職、夫の定年など小さなステップの階段を少しずつ下りたり上がったりする感じではなかろうか。

このように女性は、セカンドライフという別次元の暮らしにポンと変わるわけではなく、子どもの手が離れてから少しずつ育てた芽を様々に伸ばすような暮らしを楽しむ。その変化の隙間に、小さな市場が多種多様に生ずるわけで、団塊シニア市場はこうした多様なミクロ市場の集合体なのだ。

 

団塊シニアはいよいよ本腰、

50代はまだまだ揺れる

 

シニアマーケットは巨大な市場ではあるが、その実態は細分化されたミクロな市場の集合体だ。そのミクロな市場のニーズを汲み取っていくためには、セカンドライフへの腰の入り具合や、どういうところに不安があるのかを探っていく必要がある。

50代ミセスと60代ミセスにセカンドライフの考え方を調査したところ、まだ学生の子どもを持っている50代と夫が定年退職した60代では、大きく異なる点が散見された。年金支給年齢が上がる不安もあり、50代のほうが不安要素が多い。そのため自分のためや夫婦のための暮らしについて、まだまだ思いは揺れている。

中高年を対象にビジネスを考えるなら、まず50代と60代で大きく違うことを念頭に置くべきだろう。

 

監修:村田裕之

 

シニアマーケットとは? 5つの基礎知識

 

❶総人口は減っても増え続ける高齢者 ▶▶▶2030 年で、65 歳以上が32%、50 歳以上でも51%を占めるように

60代以上はストック・リッチ、フロー・プア ▶▶▶資産(貯蓄や持ち家)と所得の関係はグラフ参照

60代以上は女性主導市場 ▶▶▶人口の男女比は60 歳から女性が多くなり、70 代で1対2、80 代で1 対3に

❹シニア特有の変化 ▶▶▶肉体変化、本人や家族のライフステージの変化、世代特性

❺多様なミクロ市場の集合体 ▶▶▶シニア特有の変化が複雑に絡み合い、一つ一つはミクロな市場に

 

参考:団塊・シニアビジネスの基本


        リビングくらしHOW研究所

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