シニア特有の五つの変化を知ってシニア層にやさしい売り場づくりを

ショッぷる 20122月号 特集 みんなにやさしいお店づくり 

ショッぷる2012_2月号_表紙2今、日本で高齢化がどんどん進み、シニア層の人口が大幅に増加。二〇三〇年には五〇歳以上が人口の半数以上を占めると予測されています。そうした年代層のお客さまにやさしい売り場づくりの重要性について、シニア向けビジネスに詳しい村田裕之さんにうかがいました。

 

超高齢社会で小売業が売り上げを伸ばすには、シニア層を意識した商売が不可欠なのはいうまでもありません。たとえばシニア層は体力も衰えてくるので、広い店内を探しまわるのが苦痛。必要な商品をコンパクトに集めるだけでも喜ばれます。シニア層にやさしい売り場をつくることは、ほかのお客さまが買いやすい売り場づくりにもつながるのです。

しかし、ショップで接客をしている若いスタッフのなかには、シニア層のお客さまが何を考えどんな生活を送っているのか、想像がつかない方も多いのではないでしょうか。自分の店に来るお客さまはどういう人たちで、どのようなものがなぜ必要なのか。それを頭に入れておくことが、やさしい売り場づくりの基本です。そこで、まず知っておいてほしいのが「シニア特有の5つの変化」です(右下表を参照)。人がモノやサービスを買うのは何かが変化したときなのです。その変化がなぜ、どのように起こるのかを理解することです。

 若いときにはわからない変化を知ることが大切

 

5つの変化の中でもとくに購買行動につながりやすいのが、①の「肉体の変化」や、②③のライフステージの変化でしょう。たとえば「肉体の変化」では、四〇代になったころから老眼が始まり、小さな字が読みづらくなります。だからシニア層向けのチラシに小さな字を使うのはタブー。チラシやPOPはハッキリ黒々とした大きな文字で書くことが大切。蛍光色はまぶしいと感じるので使わないほうが無難です。若い人よりも身長が低い場合が多いので、POPや商品は目の高さより下に展開したほうが見やすくなります。

②の「ライフステージの変化」では、たとえば会社を定年退職後には、病気になったときの出費を恐れて健康志向が強まります。すると健康食品の購入が増え、ジムに通うためにウエアを買い、ウォーキングツアーに参加するためにシューズを買うようになります。

③の「家族のライフステージの変化」の例としては、高齢の親や配偶者の介護があります。そうした事態は突然起こることが多いので、最初は何が必要なのかもわかりません。そこで売り場に介護保険制度や介護の仕方に関する書籍と共に各種介護用品やグッズをそろえて提案すれば、お客さまも助かります。

 

ショッぷる2012_2月号_2-1_2コーディネートとわかりやすさを心がける

 

①~③のどの場合にも、想像力を働かせてストーリーを考えれば、どのような売り場にするべきかが見えてくるでしょう。しかし、店側の都合で必要な商品がバラバラに置かれていたり、目に付きにくいところにあったりしがちです。だからこそトータルコーディネートの工夫がお客さまに喜ばれるために不可欠です。

たとえばシニア層の男性は、定年退職後のカジュアルファッションはどんな服がいいのかわからない方も少なくありません。ジャケットやズボン、シャツ、靴、バッグなどがコーディネートされて一か所で展開されていれば、売れやすくなるはずです。自分のショップだけで商品が足りないのであれば、SCの中でシニア市場の開拓をめざしているテナントが商品を持ち寄り、実験的に売り場をつくって販売することにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

もうひとつ大切なのは、わかりやすい売り場づくりです。その商品のどこが魅力的なのかはっきりさせましょう。シニアは認知能力も衰えがちなため、チラシやPOPの内容は本当に伝えたいことだけにポイントを絞るべきです。「見やすい」「聞きやすい」「さわりやすい」「イメージしやすい」が基本。言葉だけではなく色や音、匂いなどの要素を取り入れれば、アピールしやすくなります。

 

ショッぷる2012_2月号_2-2_2ことさら「高齢者」を強調するのは逆効果

 

シニア層と若い人たちとは考え方や身体機能面で違いがあります。そのことを認識しながら、なおかつ理解しようという努力が大切です。たとえば、自分自身はわからなくても、両親や祖父母を引き合いに出してみる。接客する際に、お客さまの要望に耳を傾けながら、「うちの父も定年退職して同じようなことを言っていました」といった対話を心がけてみてはどうでしょうか。「この店は自分のことをわかってくれているな」とお客さまに共感していただける可能性が高まります。

シニア層向けに売り場づくりをする際に注意すべきこともあります。その一つが「中高年」「高齢者」「六五歳以上」といった高齢を意識させる言葉を、商品や売り場で不用意に使うこと。特に年齢訴求はお客さまに不快感を与えて逆効果になりかねません。ことさら「高齢者コーナー」といった言葉を使わなくても、5つの変化を考えた関連商品をわかりやすく展開すれば、必要な人は黙って買っていきます。

また、シニア層は自分がちゃんと納得しないものは購入しない傾向があります。反対に一生懸命説明して、ストンと納得してもらえば、買っていただけることが多いようです。「こうやったらお客さまが納得して、喜んで買ってもらえた」という小さな成功体験を、チームとして共有すればどんどん店がよくなるでしょう。ショップで働くみなさんは、年配のお客さまが「なぜ、買いたいのか」をつねに想像力を働かせて考えつづけることが大切なのです。これはシニアに限らずすべてのお客さまに共通です。

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