2012829日 日本経済新聞

workout827日の日本経済新聞の社説「シニアが暮らしやすい街づくりを」には、私が関与している複数の活動についての説明がありました。しかし、記事の内容は短いせいか、意味が正確でないと思われるものがあったので、補足したいと思います。

 

まず、次のくだり。

 

「経済産業省新ヘルスケア・サービス産業創出懇談会の報告書は、企業の提供する商品やサービスがシニアの不安を消す水準に達していないと指摘。流通、外食、薬局、フィットネス、病院、交通機関などが垣根を越え協力することで新ビジネスが生まれ、利用者の満足度も高まると提言する。」(出所:827日日本経済新聞社説)

 

これは私が委員として参加している懇談会が作成した報告書をもとに書かれていますが、「企業の提供する商品やサービスがシニアの不安を消す水準に達していない」わけではありません。

 

特に医療・介護の分野は規制が多く、個々の企業での取り組みでは限界があるので、関連する業界の各々企業同士が連携しやすいように、規制緩和を含めて支援するのが行政の役割である、というのが本報告書の趣旨です。

 

次にカーブスについての次のくだり。

 

「米国の女性専用フィットネスクラブ、カーブスは全世界で400万人の会員を持つ。平均年齢は50代。プールやシャワーはなく、仲間と話しつつ短時間、健康器具で体を動かす。手軽さが支持され日本の会員も40万人を超す。豪華設備と高い会費に慣れた日本企業からは生まれなかった発想だ。」(出所:827日日本経済新聞社説)

 

このカーブスは、私が2003年に初めて日本に紹介をしたものですが、最後の文章「豪華設備と高い会費に慣れた日本企業からは生まれなかった発想だ。」は、少し違います。

 

というのは、日本にある既存の“豪華設備と高い会費に慣れた”フィットネスクラブは、もとはすべてアメリカからの輸入だからです。だから、カーブスのようなフィットネスクラブの新しい発想もアメリカから出現してくるのは当然なのです。

 

しかし、日本で1200を超える店舗数、45万人を超える会員数に成長したのは、株式会社カーブスジャパンによる運営と品質管理のノウハウのおかげです。これはアメリカの発想だけではない日本企業共通の“文化”によっているのが事実です。

 

通常のフィットネスクラブは装置産業的な色彩が強いのですが、カーブスは一つの店舗が小規模で、地域密着のため、スタッフのコーチングスキルが重要なのです。

 

このスキルをどの店舗でもそれなりの水準にするためには、きめ細かなスタッフ教育のシステムが必要です。そして、この教育システムの優秀さが、カーブスの日本での成功のカギなのです。

 

したがって、社説の記事にあるように、単にアメリカからビジネスモデルを持ってきただけでは、ここまでの成功はなかったのです。ひとえに日本企業の強みであるきめ細かな顧客対応、品質管理、営業体制がきちんとしているからです。

 

日本企業のもつ、きめ細やかな対応力は、多様なニーズをもつシニアを相手にするビジネスにはぴったりの企業文化であることを、日本企業はもっと自信をもってよいと思います。

 

 

参考:新ヘルスケア・サービス産業創出懇談会とりまとめ