買い物支援の移動販売 コミュニティ構築の役割も

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産経新聞 2015年6月19日

以前、シルバー産業新聞への寄稿で、近年は「モノ」の販売と提供の場所が「店頭」から「在宅」へ向かう例が増えており、その代表が「ネットスーパー」だが、百貨店もそうした動きを見せ始めている、という記事を書いた。

その内容をもとにしたような記事が昨日の産経新聞に掲載された。私への取材に基づくコメントも次のとおり掲載されている。

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東北大の村田裕之特任教授(シニアビジネス論)は「高齢化で商品の提供場所が店頭から在宅へ向かう動きは今後も増える。採算が合わないと継続は難しいが、退職後のシニアを有償ボランティアとして活用するなど方法はある」と話している。
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移動販売の最大の課題は販売コストが高いことと販売効率が低いことだ。イオンなどの大手スーパーが東北の震災を機会にトレーラー型の移動店舗で被災地を回った時期がある。しかし、こうした販売は緊急時にはやれても平常時には効率が悪いため、事業としては採算に乗りにくい。

tokusimaru

前掲の記事で触れたとおり、百貨店「さいか屋」の移動店舗が採算に乗る理由は、近所のスーパーやコンビニでは買えない「デパ地下」にある上質な食材や惣菜などを商品とすること。百貨店の商品は高品質で安心、ちょっと贅沢な買い物を楽しみたい、という高齢女性には多少単価が高くても欲しいものなのだ。

一方、これからはネットを縦横に使いこなすスマートシニアがますます増える。スマートシニアは、足腰が弱っても、頭と手が使えるなら買い物弱者にはならない。

産経の記事には、「経済産業省は、家まで商品や食事を届ける宅配・配食サービスや乗り合いタクシーなど移動手段の確保、物流の効率化などの対策を進めている。」とあった。

しかし、私は現時点でネットを利用していない高齢者に対して、非常に使いやすい通販利用インフラ提供を政策的に行うことで、移動店舗を増やすよりも低コストな買い物弱者対策ができると思うのだが、いかがだろうか。

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