子供・若者向けの商品が、大人・シニア向けに売れないかを考える

シルバー産業新聞 連載「半歩先の団塊・シニアビジネス」第101回

オトナグリコ紙オムツは、従来乳幼児向けの商品だった。ところが、社会の高齢化で要介護者が増え、大人向けの紙オムツの需要が増えていった。ユニ・チャームによれば、紙オムツ市場は2012年に乳幼児向けが1400億円だったのに対して、大人向けが1650億円となった。この年を境に乳幼児向けより大人向けの方が大きな市場になったのだ。

大人向け紙オムツは高齢化の進展による需要増が顕在化してきたために開発された商品である。一方、現時点で大人向けの需要が顕在化していなくても、子供や若者向けの商品・サービスを大人・シニア向けに売れないかを考えてみることで潜在市場を顕在化できる可能性がある。

増えてきた菓子・乳製品メーカーの大人向け商品

ヤクルトが2013年3月に発売した「ヤクルトAce」が「子供向け」を「大人向け」に応用した商品の先駆例だ。同社では、「ワンランク上の『大人』のヤクルト」をキャッチフレーズに、次の通りの特徴を商品に持たせた。

1. 独自の「乳酸菌 シロタ株」を300億個含む(従来のヤクルトの2倍)
2. 腸内のビフィズス菌や乳酸菌を増殖させるオリゴ糖(ガラクトオリゴ糖)を含む
3. 日常の食生活で不足しがちなミネラル(鉄、カルシウム)と、それぞれの吸収を助けるビタミン(CD)を配合
4. 甘さ控えめのすっきり風味

このように子供向け乳製品を「大人向け」に変える場合、健康増進効果と低カロリー化を訴求する例が多い。

大人向け商品で気をつけるべきこと

こうした従来の子供向け商品を「大人向け」にシフトする例がいくつかある。たとえば、ロッテは、ヒット商品の「雪見だいふく」から、生チョコ入りの「大人の雪見だいふく 生チョコレート」、抹茶生チョコレートが入った「大人の雪見だいふく 濃い抹茶」などを発売した。

しかし、単に商品名に「大人の××」と銘打っただけでは売れる保証はない。これまでの各社の取り組みを眺めていると、こうした安直な例が多く、取組姿勢に大雑把な印象を受けるものがほとんどだ。

この理由として、①商品単価がせいぜい数百円のため、一つの商品に多額の開発費用をかけず、商品が中途半端になりがちなこと、②伝統的に大量生産・大量流通・大量販売に慣れている業界のため、多様性の強いシニア市場に対してきめ細やかな対応が不得手なことが挙げられる。

工夫すればいくらでもある大人向けヒット商品の切り口

しかし、実は多額の開発費用をかけなくても、ヒット商品の切り口はいくらでも考えられる。食品メーカーの新商品プレスリリースを見ると、ターゲット顧客が「20歳代から30歳代」と記載されている例が非常に多い。

ところが、製品をよく眺めると、ちょっと工夫すれば、もっと上の年齢層にも売れそうなものが多く見受けられる。

たとえば、森永乳業が森永製菓と共同で商品化した「ミルクキャラメルプリン」という商品があった。この商品は、「森永ミルクキャラメル」の発売100周年を記念して、2013年9月より期間限定で発売されたものだ。プレスリリースでは、やはり主要ターゲットが「20歳代~30歳代男女」となっていた。

ここで、以前連載で取り上げた「世代特有の嗜好性」の観点で見てみる。幼少の頃にミルクキャラメルを食べた「世代原体験」を持つ40歳代~60歳代の人にも、この商品の存在を適切に伝えることで、「あら、懐かしいわね」「あのミルクキャラメルの味がプリンになったの?どんな味かしら?」といった「ノスタルジー消費」が起きる可能性がある。

また、1965年に登場してから今もあるロングセラー、森永乳業の「マミー」は、現在は小売店では紙パックで販売している。たとえばこれを、発売当時のデザインの「ビン入り」で販売できれば、50歳代以上の「ノスタルジー消費」が喚起されやすくなるだろう。

50歳代以上にとって、幼少の頃、毎朝自宅の牛乳箱に届く「ビン入りマミー」を飲むのがちょっとしたぜいたくな楽しみだった人は多いはずだ。(その後森永乳業は、マミーのビンの写真を載せた紙パック入りのマミーを発売したが、これでは中途半端なことはお分かりだろう)

これらはあくまで一例だが、こうした「世代原体験」をもつ人たちに懐かしさを感じてもらい、つい商品を手に取ってもらうアプローチは40歳代以上には有効なはずだ。

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