年齢訴求は要注意 受け入れられる場合、ダメな場合

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高齢者住宅新聞 介護保険に頼らないシニアビジネス成功の12のヒント 第8回

経済的メリットを感じる年齢訴求を

中高年を対象に商品・サービスを提示する場合、特定の年齢訴求が受け入れられる場合とそうでない場合がある。受け入れられるのは、明らかに経済的メリットがあると感じられる場合だ。

たとえば、スーパーや映画館、劇場、散髪などのシニア割引が該当する。JR東日本の「大人の休日倶楽部」は、特定の年齢に達した人向けの鉄道運賃の割引という古典的な成功例だ。

割引以外の例では、かつてアリコ(現メットライフ)が発売した「はいれます終身保険」という保険商品がそうだった。

一般に年齢が上がると死亡保険は加入しにくくなる。当時、これが発売されるまで、50歳以上の人が医師の審査なしで加入できる死亡保険はほとんどなかった。需要があるのに供給がなかったニッチ市場で大ヒットした商品だ。

現在では、同社以外の多くの保険会社が50歳以上でも加入できることを謳うことが一般的となった。これらのように該当者にとって経済的メリットが感じられる場合、特定の年齢を訴求されても受け入れられる。

「差別的ニュアンス」要注意

一方、ダメな場合は、「差別的ニュアンス」が感じられる場合である。たとえば、後期高齢者医療制度がその典型だ。75歳以上に特化し、保険料負担を増したことで、猛反発を受けた。

負担を増したとはいえ、実は現役世代の負担率3割よりも負担割合は少なかった。だが、特定の年齢層の負担増というアプローチは、特定の年齢層への「差別」と見られやすいのだ。

かつて、ある大手化粧品会社が50代以上の女性に訴求して大キャンペーンを行なった時、画期的な試みだとして多くのメディアに取り上げられた。

ところが、肝心の売上げはさっぱりだった。特定の年齢訴求が、対象者にとっては、特定の「ラベル」を貼られるかのように思われたからだ。こうした年齢に関わる「ラベリング(labeling)」は、決めつけられた感覚が強く、要注意だ。

成功するシニアビジネスの教科書
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