シニアの消費行動は「年齢」ではなく「変化」で決まる

Clinic ばんぶう10月号 連載 データから読むイマドキ「シニア」の実態 第3回

%e3%81%b0%e3%82%93%e3%81%b6%e3%81%86_%e8%a1%a8%e7%b4%99_10%e6%9c%88%e5%8f%b7「加齢による身体の変化」と消費行動

私たちの身体は加齢とともに変化し、中高年期には一般に衰えていきます。老眼、体力の衰え、皮膚の衰え、体型の変化、更年期障害、肩やひざの痛みなどを実感すると、対処や予防のための消費が生まれます。

このような変化に対応した商品・サービスには、老眼鏡、ルーペ、白髪染め、補聴器、ウォーキングシューズ、トレーニングウエア、補整下着、各種サプリメント(コラーゲン、コンドロイチン、ヒアルロン酸、カルシウムなど)、スポーツジムなど、たくさんあります。

しかし、こうした商品・サービスは、誰にでも同程度に必要とされるわけではありません。たとえば、50歳代、60歳代の女性に「最近、体調や体型の変化で気になることはありませんか」と尋ねると両年代とも「体力の衰え」を一番目に挙げます。ところが、50歳代が肌の衰えや更年期障害を二番目に挙げるのに対して、60歳代は関節の痛みを二番目に挙げます。

これに関連して、「美容や体型維持のために定期的にしていることはありますか?」と尋ねると、50歳代では「サプリメント」の服用が目立つのに対して、60歳代ではウォーキングやスポーツジムなどでの運動が目立ちます。50歳代と60歳代の対策の差は、時間的余裕の有無に起因します。

仕事や家事、子育てで忙しい50歳代と、そうした作業から解放された60歳代との違いが消費行動の違いに表れているのです。こうした消費行動の差は、実は年齢ではなく、身体の変化の違いと、この後に触れる「本人のライフステージの変化」によって生じていることに注意しましょう。

%e3%81%b0%e3%82%93%e3%81%b6%e3%81%86_%e6%8e%b2%e8%bc%89_10%e6%9c%88%e5%8f%b7「本人のライフステージの変化」も消費行動に影響を及ぼします。男性で一番大きいライフステージの変化のひとつは退職です。電通の調査によれば、退職をきっかけとした具体的な行動で一番多いのが「夫婦での旅行」です(図)。

これは実は定番商品で、退職したら半分くらいの人が旅行に出かけます。ちなみに、パック旅行費への年間支出を見ると、国内旅行、海外旅行ともに一番多いのはやはり60歳代です。次に多いのが、なんと70歳代です。旅行の場合は、退職後半年以内に、まず退職記念旅行に出かけ、その後も折に触れて何度も出かけるというパターンが多いようです。

「旅行」の次には「散歩・ジョギング・ラジオ体操など」「家のリフォーム」「保険の加入・見直し」「株やファンドの購入」が上位にきます。退職直後の消費の共通点は、健康維持、老後準備、趣味・自分探しのための消費であることです。また、比較的高額商品が多いことも共通点です。

フルタイムで仕事をしていた人は、退職して仕事をやめると収入は減りますが、自由時間は大幅に増えます。このため、この増えた自由時間を使うための商品・サービスに目が行くようになります。また、収入が減った分を補填するため、安全かつ有利な投資活動にも興味を持つようになります。

いずれにせよ、退職年齢が多様化しているため、特定の年齢になったから退職するとは限らないことにも注意してください。つまり、本人のライフステージの変化も年齢だけでなく、本人のいろいろな都合で起きると認識すべきなのです。

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