家族のライフステージの変化と消費行動に及ぼす影響

Clinic ばんぶう11月号連載 データから読むイマドキ「シニア」の実態第4回

bamboo_11%e6%9c%88%e5%8f%b7_%e6%8e%b2%e8%bc%89家族のライフステージの変化はシニアの消費行動に大きく影響します。「リビングくらしHOW研究所」が2012年に実施した調査によれば50歳代・60歳代女性に「夫は現役で働いていますか」と尋ねると、50歳代では73.8%が「現役」なのに対し、60歳代では55%が「無職」と答えています。

関連して第二の人生における住まいについて聞くと、50歳代は半分強が「今のままでいい」、残りは「親のそばに引っ越す」「都心のマンションに引っ越す」「リゾートや田舎に引っ越す」などと回答しているものの、28.7%が「わからない」と答えています。

50歳代では、夫の今後がわからないので、将来について確定しにくいのです。ところが60歳代になると、75.3%が「今のままでいい」と答えます。夫が退職して先を見通すことができ、両親の世話も一段落しているからです。

60歳代の女性は気持ちが吹っ切れて、残り時間を楽しもうという気持ちが強まり、好きなことに時間とお金を割くようになります。私はこれを「吹っ切れ消費」と呼んでいます。

夫が退職しても妻の自由時間が増えるとは限らない

bamboo_11%e6%9c%88%e5%8f%b7さらに同じ母集団に「5年前と比べて自分の時間が増えたと思いますか?」と聞くと、夫が現役の人は「減った」が18.6%なのに対して、夫が退職済みの人では31.6%と急増します(図)。つまり、夫が退職しても、妻の自由時間が増えるとは限らないのです。

そこで夫がどの位家にいるかを尋ねると、「ほぼ毎日家にいる」(38.5%)、「家にいる方が外出より多い」(25%)を合わせて、63.5%が「自宅引きこもり派」であることがわかります。夫は退職後に自宅にいる時間が長くなるため、妻が夫の世話に時間を取られ、自分の時間が減るのです。

こうした背景から「お昼だけは外で食べてちょうだい!」と約束する夫婦も多いようです。これをビジネス面で見ると、こうした「自宅引きこもり派」の夫が増えることで、たとえば惣菜や弁当などの「中食(なかしょく、外食と内食の間)」市場が、成長市場として浮かび上がってきます。

また、退職後の夫の居場所つくりもビジネスになります。アメリカの社会学者、レイ・オルデンバーグが、家庭(第1の場所)でもなく、職場(第2の場所)でもない「第3の場所」が社会的に重要な機能を担っていると指摘したのをヒントに、私は14年前に「退職者向けの第3の場所」というコンセプトを提案しました。これは、毎日行く所のなくなる退職者のための社会的居場所のことです。

名古屋からスタートしたコメダ珈琲店は、このアプローチで成功している例です。大人がくつろげる「第3の場所」として人気を集め、全国700店以上(2016年9月現在)にチェーンを拡大しています。

コメダ珈琲店のいいところは朝7時から開店しており、11時までにモーニングセットを注文すれば、ドリンク代だけで、トースト、ゆで卵がついてくること。これを目当てに午前中は多くのシニア客が来店します。20冊以上の新聞や雑誌が読め、朝食をとりながら割安に生活に役立つ情報が得られるのもミソです。

成功するシニアビジネスの教科書
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