「時代性の変化」とシニアの消費行動

Clinic ばんぶう2月号連載 データから読むイマドキ「シニア」の実態第7回

「時代性の変化」はシニアの消費行動に大きく影響します。今回は直近10年あまりでの時代性の変化とシニアの消費行動の「2つの変化」について解説します。

変化1:退職後は毎日遊んで暮らす→退職後も週3日は仕事をする

2000年代中頃までは、退職後は仕事をやめてのんびり過ごすライフスタイルが「ハッピーリタイアメント」の理想形でした。首都圏に住んでいる人なら、長野県や栃木県などにセカンドハウスを購入し、退職後は晴耕雨読を目指す人が大勢いました。

また、多くのデベロッパーがアメリカ型の大規模なリタイアメント・コミュニティを模倣し、退職後の夢の生活を謳うゴージャスな自立型有料老人ホームを争って建設しました。

しかし、2007年以降のリーマンショックで、こうした不要不急市場は事実上消滅しました。さらに、東日本大震災以降に起こったユーロ危機、アメリカの景気低迷、イランの核開発、中東の民主化動向、消費税増税など国内外において先行き不透明感が増大しました。また、国内の産業空洞化が進み、雇用調整のため、65歳以前に退職を余儀なくされる団塊世代が増えました。

このような背景から、定年退職直後は多少遊ぶものの、退職後も週3日程度は仕事を続けたいという「半働半遊派」が増加しています。シニアの金融資産の特徴は「ストック・リッチ、フロー・プア」であり、平均的にはそれなりの資産を持っています。しかし、上述の先行き不透明感から退職後に自分の資産が減るのを極端に嫌います。

一方、定年退職後に稼いだお金は貯めようとせず、自分の趣味や孫への小遣いに充てる傾向があります。つまり、退職後に仕事を続ける人は、そこで稼いだ分を消費に回すことに注目しましょう。

変化2:親世代と子世代は離れて暮らす→親世代と子世代は近くで暮らす

90年代のバブル期には、土地の高騰から2世代住宅が増えました。バブル崩壊後の90年代後半に土地の値段が下がってくると、今度は子供世帯が親とは独立に一戸建てを買えるようになりました。

ところが別居はするものの、互いに「スープの冷めない距離」に住む近居(近接居住)という形態が増えてきました(図)。近居というのは、電車やクルマで、おおむね30分以内で行き来できるくらいの距離に互いに住む形態です。

近居にはメリットが多くあります。同居しているとお互いにいろいろ気を遣ってストレスが溜まりますが、近居なら基本的に別居なのでそれが減ります。

身体の衰えを感じる親世帯にとっては、子供が近くに住んでいるために、いざという時には世話をしてもらえる安心感があります。また、孫にもすぐに会え、交流もしやすくなります。

一方、子供世帯にもメリットが多くあります。まず、子育てを手伝ってもらえます。また、食費などの生活費の援助も受けられやすい。さらに、子供なしでちょっとどこかへ出かけたい時には子守を頼めます。

このように家族の住まい方の形態は、その時代の高齢化度合と経済情勢によって変化する、と覚えておいてください。


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