価値が認められれば客はお金を払う
高齢者住宅新聞 介護保険に頼らないシニアビジネス成功さらなる12のヒント 第9回
仙台の東北大学加齢医学研究所スマート・エイジング国際共同研究センターでは多くの中高年を目にする。とりわけ50代から70代の女性に出くわす。センター6階に女性専用フィットネス「カーブス」があるからだ。
利用者の多くは6階の店までエレベータを使わず、階段で昇り降りしている。私と顔を合わせると大きな声で挨拶してくれる。すぐそばの大学病院のロビーですれ違う同年代の女性に比べると明らかに元気でいきいきしている。
カーブスでは利用者は1回30分、筋力トレーニングと有酸素運動、ストレッチを行っている。3か月も通えば大抵の人は元気になっていくのだが、実はこれ以外に興味深い変化が見られる。
まず、運動着以外の服を買うようになる。運動して痩せてスタイルがよくなるからだ。次に、靴やカバン、化粧品やアクセサリーなども買うようになる。そして、仲間と一緒に旅行に行く頻度が増える。
心身が元気になり、気持ちが前向きになるので、きれいな格好をして仲間と一緒にお出かけしたくなるからだ。なぜ、彼女たちは筋トレや有酸素運動によって、こうした変化を見せるのか。
私たちの額の後ろ側にある大脳の前頭前野に意欲の中枢がある。実は中高年に多いうつ病や認知症を患っている人は、この部分の機能が低下している。
保険に依存しない事業の本質理解を
加齢医学研究所の研究では、上記の運動により、この部分を活性化すると、気持ちが前向きになり、活動意欲が強まって、消費も増えることがわかっている。平たく言えば、元気になると財布のひもが緩みやすくなるのだ。
このように心身が元気になると、医療・介護費が減るだけでなく、消費拡大にもつながる。運動しないで不健康になり、要介護状態になって、大人のオムツなど介護用品にお金を使うより、元気でいて、お洒落をして、旅行に行く方が、個人にとっては、はるかに有意義なお金の使い方ではないだろうか。
混合介護が注目される今、介護保険に依存しない事業の本質を理解すべきだ。
東北大学SAC東京第3期新規参加企業募集のお知らせ
成功するシニアビジネスの教科書
高齢者住宅新聞
あわせて読みたい関連記事
- 介護保険に依存しないシニアビジネス成功の秘訣
- 産学で高齢者ビジネス促進
- 元気なシニアは財布のひもが緩い? 運動で購買意欲旺盛に
- 日経スマート・エイジング・フォーラムで講演します
- 東北大学スマート・エイジング・カレッジ東京、第2期参加企業の募集を開始
- 1月20日スマート・エイジング特別セミナーへのご招待
- 1月31日東北大学SAC東京特別セミナーへのご招待
- 「学習療法」の海外初トライアルの様子が放映されます
- 4週間のサーキット運動が高齢者の認知機能を広範囲に向上することを発見
- 脳科学を基に楽しく学ぶ「脳いきいき学部」9月開講
タグ
カーブス、スマート・エイジング、介護保険、混合介護、脳科学03/01/2017 | コメント/トラックバック(0)|