シニア市場へのアプローチ「5つの誤解」

不動産経済 連載 シニアシフトの衝撃 第2回

年齢別所得シニア市場の重要性に気がつき、「シニアシフト」に取り組んでいるものの、苦戦している企業が多く見受けられる。今回はこうしたシニア市場に対する「誤った見方」と「正しい見方」を対比し、シニア市場への効果的なアプローチのための認識を共有したい。

 



誤った見方1:シニア層は、他の年齢層よりお金持ちである

正しい見方1:シニア層は、他の年齢層より資産は多いが、所得は少ない

 

総務省統計局による「家計調査報告」平成22年(2010年)によれば、1世帯当たり正味金融資産(貯蓄から負債を引いたもの)の平均値は、70歳以上で2,145万円と最も多い。2番目が6069歳で2,093万円、3番目が5059歳で1,150万円、4番目が4049歳で225万円と一桁下がる。39歳以下はマイナス、つまり貯蓄より負債の方が多い。

 

また、年代別の持家率で見ると、60歳代、70歳代ともに92%超の持家率となっている。このようにシニア層は、他の年齢層に比べて平均的には資産持ちである。

 

一方、厚生労働省「国民生活基礎調査」平成22年(2010年)によれば、世帯主の年齢階級別の「年間所得」(図表1)は、5059歳で731.9万円と最も多い。2番目が4049歳で678.5万円、3番目が3039歳で551.3万円、4番目が6069歳で539.5万円、5番目が70歳以上で406.5万円となっている。

 

資産持ちの60代・70代は、所得では4番目と5番目なのである。この主な理由は、多くの世帯主が退職し、主たる収入源が年金だからである。

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「世代特有の嗜好性」が引き起こすシニアの消費行動

2013610 シルバー産業新聞 連載「半歩先の団塊・シニアビジネス」第75

昭和歌謡コシダカシアターシニア本人の「世代特有の嗜好性」が消費行動に影響することがある。この多くは20歳までの文化体験(世代原体験)で形成される。世代原体験には食生活、文学、音楽、映画、漫画、テレビ番組、ファッション、スポーツなどがある。

 

「ノスタルジー消費」は40代以降に起きやすい

 

ノスタルジー消費とは世代原体験が懐かしくて生まれる消費形態。復刻版CDDVD、映画のリメイクなどがこれに当たる。映画「Always三丁目の夕日」は、昭和30年代を舞台した西岸良平の漫画『三丁目の夕日』を原作としたもので、建設中の東京タワーや上野駅、蒸気機関車C62、東京都電、ダイハツの三輪自動車ミゼットなど当時の東京の街並みを再現させたことで団塊の世代以降の世代に大ヒットした。

 

浅草にある「昭和歌謡コシダカシアター」は、シャボン玉ホリディなど懐かしの昭和歌謡によるショー専用の劇場で、はとバスのコースにも組み込まれ、多くの年長者が通っている。代官山の蔦谷書店には、60年代・70年代にヒットした名作映画のDVDや復刻版CDが豊富に取り揃えてあり、年長者の利用が目立つ。

 

ノスタルジー消費は、世代原体験後20年以上時間が経過した頃によく見られる。言い換えると当該世代が40代以降に達してから見られやすい消費形態である。

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G.G世代という呼び方の違和感

スマートシニア・ビジネスレビュー 201365Vol.194

title-gg531日放送のTBSテレビ「ひるおび」では、

イオングループが注力している「グランド・ジェネレーション」が題材として取り上げられていました。

 

ただし、この「グランド・ジェネレーション」を

G.G世代」と呼んでいることに違和感があります。

 

番組でも「G.Gって“ジジイ”みたい」との声が

多くの人たちから挙がっていました。

 

この意味でも違和感はあるのですが、

私が感じるのは単純に

言語の「文法」としての違和感です。

 

G.GとはGrand Generationの略であり、

Generationは世代と言う意味です。

 

したがって、G.G世代」と呼ぶと、

「グランド・世代・世代」となり

馬から落ちて落馬する、と同様の

重言になってしまうのです。

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利用者目線での商品・サービスの絶え間ざる進化が必要

保険毎日新聞 連載 保険業界はシニアシフトにどう対応すべきか?第3回

homai_1306_fig加齢による身体の変化と気持との「ギャップ」をさりげなく埋める

 

NTTドコモの「らくらくホン」は、シニア向け携帯電話のパイオニアである。最初のモデルから累計2200万台以上売れたベストセラー商品だ。いかにして、らくらくホンはベストセラー商品になったのか。

 

第一の理由は、加齢による身体の変化をエレガントにカバーする便利な機能が満載されているためだ。たとえば、年齢が高くなるにつれて高音が聞き取りにくくなることから、利用者の年齢に合わせて通話音声の主に高音部分を自動で強調する「あわせるボイス」、騒音環境でも聞きやすい「スーパーはっきりボイス」、相手の声がゆっくり聞こえる「ゆっくりボイス」、雑音を除去し、クリアな音声を相手に伝える「スーパーダブルマイク」などは、耳の機能の衰えをさりげなくカバーしてくれる。

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世代特有の嗜好性をいかにして消費につなげるか?

販促会議7月号 連載 実例!シニアを捉えるプロモーション 第五回

hansokukaigi1307シニア本人の「世代特有の嗜好性」が消費行動に影響することがある。今号は「世代特有の嗜好性」を消費につなげるための勘所を整理する。ただし、この「世代効果」だけに特化したマーケティングは必ずしも有効ではないので要注意だ。その理由は、「世代特有の嗜好性」が消費行動に反映されるのは、前回までに述べた他の要素が変化する時だからである。

 

1. ターゲット世代の幼少期から大学時代までの文化・世相を知る

 

世代特有の嗜好性の多くは20歳までの文化体験(世代原体験)で形成される。世代原体験には食生活、文学、音楽、映画、漫画、テレビ番組、ファッション、スポーツなどがある。各世代の幼少期から20歳までの文化・世相を知っておくと当該顧客と接する時の消費行動を理解する一助になる。

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夫の退職で妻の消費行動はどう変わるのか?

2013510 シルバー産業新聞 連載「半歩先の団塊・シニアビジネス」第74

image夫が現役か退職かで変わる妻の消費行動

 

団塊世代の定年退職が少しずつ増えている。だが、配偶者の退職で妻の消費行動がどのように変わるのかは意外に知られていない。

 

リビングくらしHOW研究所が50代、60代の女性を対象にした調査によれば、「夫は現役で働いていますか」と女性に聞くと、50代では73.8%がまだ現役。ところが60代になると17.9%しかおらず、55%は無職となっている(図表1)。50代と60代では、夫の状態がかなり違う。

 

この母集団に、たとえば「第二の人生を考える時に、住まいはどこにしたいですか」と尋ねた場合、50代は半分が「いまのままでいい」と答えるが、残りの半分のうち、21.3%が「親のそばに引っ越す」「都心のマンションに引っ越す」「リゾートや田舎に引っ越す」など、いろいろ答えるが、28.7%が「わからない」と答える。

 

つまり、期待と幻想を持っている人と、予想がつかない人とを合わせて半分なのである。50代では、自分の夫がこれからどうなるかが、まだわからない人が多い。また、両親が要介護状態だとさらに不確定要素が増す。

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家族のライフステージの変化で消費はどう変わる?

販促会議6月号 連載 実例!シニアを捉えるプロモーション 第四回

hansokukaigi1306シニア本人の消費は「家族のライフステージの変化」にも大きく影響を受ける。この変化には配偶者の退職、子供の巣立ち、親が入院・要介護状態になることなどがある。特に影響を受けるのは夫、子供、実親、義理の親がいる妻の消費行動である。今回はこうした「中高年の妻」の消費行動に焦点を当てる。

 

1.夫が退職しても妻の自由時間が増えるとは限らない

 

夫が退職すると妻は自分の自由時間が増えるものと予想しがちだ。だが、現実にはそうとは限らない。図表1は、くらしHOW研究所が50代、60代の女性を対象に「5年前に比べて自分の時間が増えたと感じるか」を調査したもの。すでに夫が退職している妻の場合、「増えた」と答えた人が41.8%なのに対し、「減った」と答えた人が31.6%となっている。これより夫の退職で妻の自由時間が増えるとは必ずしも言えないことがわかる。

 

なぜ、夫の退職で妻の自由時間が増えるとは限らないのか。その理由は、退職後に自宅にいる時間が長くなる「自宅引きこもり派」が結構多いからだ。図表2は、「1週間のうち、夫が家にいるのはどの程度か」の調査である。これによれば「ほぼ毎日家にいる」が38.5%、「家にいる方が外出より多い」が25.0%で、両者を足すと何と63.5%の夫が「自宅引きこもり派」なのである。

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個人のライフステージの変化と消費行動

販促会議5月号 連載 実例!シニアを捉えるプロモーション 第三回 

hansoku_cover_5第一回で述べたように、シニアの消費は「本人のライフステージの変化」に大きく影響を受ける。この変化には退職、転職、転勤、住宅ローンの終了、子育て終了、入院、要介護状態などがある。今回はボリュームゾーンの団塊世代の多くが直面している「退職」に焦点を当てる。

 

1.退職をきっかけとする消費には3つのパターンがある。

 

退職をきっかけとする実際の消費行動には、ある程度共通の傾向が見られ、おおむね①健康維持型、②老後準備型、③趣味・自分探し型の3種類になる。

 

図表1は電通が、退職者が退職をきっかけに実際に行った行動を調査したものである、一番多いのが「夫婦での旅行」である。これは退職後の定番商品で、退職した人の多くが必ず行うもので、③趣味・自分探し型と言える。

 

二番目の「散歩・ジョギング、ラジオ体操など」は、①健康維持型である。三番目の「家のリフォーム」は、老朽化した屋根や壁などの修繕、子供部屋の趣味部屋への転換などで、②老後準備型と③の中間と言える。四番目の「株やファンドの購入」「保険の見直し」は、経済面での②老後準備型である。

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書籍紹介:シニアシフトの衝撃

月刊アイ・エム・プレス 20134月号

I.M.press_2013年4月号_表紙_2本誌3月号の特集のインタビューにもご登場いただいた、村田アソシエイツ代表村田裕之氏の近著。15年前からシニアビジネスの全画・立ち上げ・支援を実践してきた経験をベースに、数多くの事例と最新データを交えながら、シニア・マーケットの現状と未来について解説する。

 

シニアシフトとは、人口動態、そして企業の顧客ターゲットが、若者中心から高齢者中心へとシフトすることだが、この流れは加速化する一方。これをまだビジネスに生かしていないとすれば、みすみすビジネスチャンスを逃していることであり、今すぐアクションをとるべきだと促す。

 

シニアビジネスに参入したものの苦戦している企業の多くが見逃しているのが、シニア市場の多様性。シニア層の場合、消費行動の引き金になる変化の種類が多く、なおかつ、その変化が訪れるタイミングが人によって異なっているため、マスマーケティング手法が通用しにくいのだという。

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加齢による身体の変化への対応の勘所

販促会議4月号 連載 実例!シニアを捉えるプロモーション 第二回 

販促会議2013年4月号_表紙_2NTTドコモの「らくらくホン」は、シニア向け携帯電話のパイオニアである。最初のモデルから累計2200万台以上売れたベストセラー商品だ。いかにして、らくらくホンはベストセラー商品になったのか。

 

1.加齢による身体の変化と気持との「ギャップ」をさりげなく埋める

 

第一の理由は、加齢による身体の変化をエレガントにカバーする便利な機能が満載されているためだ。

 

たとえば、年齢が高くなるにつれて高音が聞き取りにくくなることから、利用者の年齢に合わせて通話音声の主に高音部分を自動で強調する「あわせるボイス」、騒音環境でも聞きやすい「スーパーはっきりボイス」、相手の声がゆっくり聞こえる「ゆっくりボイス」、雑音を除去し、クリアな音声を相手に伝える「スーパーダブルマイク」などは、耳の機能の衰えをさりげなくカバーしてくれる。

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