地域の強みから新規事業の差異化を考える

710 シルバー産業新聞 連載「半歩先の団塊・シニアビジネス」第88

おやき何もないように見える過疎地でも必ず何か資源がある

 

私が知る限り、新規事業を成功させる人は、それまでの通説や一般常識にとらわれず、独自の差異化を実行する人だ。そして、独自の差異化は、その会社や地域の特徴を強みに変えることで成し遂げている例が多い。

 

長野県にある「おやきビジネス」で有名な「小川の庄」がそれだ。小川の庄は名前の通り長野市の西、小川村にある。小川村は総人口3000人弱。うち65歳以上の高齢者人口が1300人を超え、高齢化率は43%を越えている。限界集落ではないが、文句なく限界集落予備軍である。

 

小川村は山間の傾斜地の多い場所だ。私も実際に行ったことがあるが、現地にたどり着くまでは、こんな場所に本当におやきビジネスがあるのだろうかと不安になった。お世辞にも耕作に恵まれた土地とは言えない場所だ。

 

しかし、必要は発明の母、逆境こそが知恵を生む。こうした傾斜地で栽培できるのは、穀物では麦や雑穀となる。この麦や雑穀を皮の原料とし、条件の悪い耕作地でもできやすい地元産の野沢菜や山菜を具にしたのが、実はおやきなのだ。また、このあたりには広葉樹が多いため、おやきを焼くための燃料にそれを使った。

 

おやきは、本来、売り物ではなく各自の家で食べるものだ。家ごとに皮の作り方や具の種類から焼き方まで異なる家庭食なのだ。このため、おのおの家の製法・ノウハウは、すべて家の女性、つまりおばあちゃんたちが持っていた。

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知縁型商品で知的新陳代謝を促す

保険毎日新聞 連載 シニア市場の気になるトレンド 第4回

■南極点2009年1月退職後の生活では「知縁」が重要

 

最初に挙げるのは「知縁」というキーワードである。この言葉は「知的好奇心が結ぶ縁」という意味で、2002年に私が日本経済新聞で初めて提唱したものだ。

 

縁(えん)には順番がある。1番目の縁は「血縁」、家族・親族の縁。2番目は「地縁」、住んだことのある場所の縁。3番目は「社縁」、もしくは「職縁」で、会社・仕事関係の縁。この知縁は第4番目の縁ということができる。

 

私は、退職後の人生では知縁がとても大切なつながりになると考えている。現代は核家族が多いので、家族のつながり(血縁)が弱くなっている。男性サラリーマンの多くは、現役時代は会社と家の往復で過ごす。その結果、地域とのつながり(地縁)は薄い。

 

一方、現役時代は会社とのつながり(社縁)が一番強い。退職しても、しばらくはOB会などでつながりが残る。ところが、それも時間の経過とともに次第に薄れてくる。

 

そこで、知縁という知的好奇心で結ばれた関係がますます重要になってくる。知縁型商品とは、それを商品販売やサービス提供に応用しようという考え方だ。

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都市部シニアの食に関する「不」は何か

大正リポート 20146月号 シニア市場をねらえ 第4回より

大正製薬_大正リポート_2014年7月_表紙都市部では交通網が整備され、食品スーパーも多いだろうと予想されることからシニアにとって住みやすい環境であると考えがちですが、実は、様々な「不」が存在し、シニアにとって意外に住みにくい環境になっているのです。

 

日本政策金融公庫の「消費者動向調査」平成24年(2012年)7月によると、「食に対して一番重要だと考えるものは何ですか」という質問に対して、60代、70代では「健康に良いこと」が一番でした。これに対し、2040代では「価格が安いこと」つまり経済性についての項目がトップでした。

 

次にシニア世代に「どういう不便があるか」という質問に対しては、一番多かったのが「近所にお店がない」で、次に多かったのが「お米など重いものを運ぶのが大変」、3番目には「一人で買い物に行くのが困難」となりました。これらがシニアの感じている不便なのです。

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目立つ夜型シニア 仕事後に買い物・飲食

日本経済新聞夕刊 2014625 読み解き現代消費

nikkei140626日経夕刊2面の連載コラム「読み解き現代消費」に「目立つ夜型シニア 仕事後に買い物・飲食」を寄稿しました。

 

「読み解き現代消費」は、毎週水曜日、気になる消費トレンドについて、その背景などを読み解くコラムです。私も執筆者の一人に名を連ねており、一か月半に一度のペースで寄稿する予定です。以下に全文を掲載します。

 

なお、このシニアの消費行動がどのようにして起こるのかについて、詳しくお知りになりたい方は、拙著「成功するシニアビジネスの教科書」第1章 シニアの消費行動はいかにして起きるか?消費のトリガーは「年齢」ではなく「変化」をご一読ください。

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シニアの身近な「不」に目を向けよ

大正リポート 20146月号 シニア市場をねらえ 第4

大正製薬_大正リポート_2014年7月_表紙「大正リポート」は、大正製薬が全国のドラッグストアなど小売店向けに発行している情報誌。本年10月号よりスタートした新企画「シニア市場をねらえ!」を私が監修しています。

 

146月号の連載第4回は「シニアの身近な「不」に目を向けよ」がテーマ。シニアの消費を取り込むために「シニア特有の嗜好性を理解する」ことや「シニアの消費心理を把握する」ことを過去3回の連載でご紹介しました。

 

では具体的にどのような点に着眼すればよいのでしょうか。既存のシニア市場が一見、飽和しているように見えても、シニア層は何らかの「不(不安・不満・不便)」を持っていることが意外に多いのです。

 

したがって、こうしたシニアの「不」の内容を具体的に突き止め、それらの「不」を解消する商品やサービスを提供すれば新たなチャンスが生まれるのです。

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日本でリタイアメント・コミュニティがうまくいかない理由

610 シルバー産業新聞 連載「半歩先の団塊・シニアビジネス」第87

高級老人ホームの談話室海外で売れているものが日本でも売れないかを考える

 

シニアビジネスを発想する場合、海外で売れているものが日本でも売れないかを考えるのも一つの方法だ。これは、外食産業やアパレル産業、小売業など、さまざまな業界でいくつもなされてきた手法である。

 

シニア向けでいえば、私が2003年に日本で初めて紹介した女性専用フィットネスのカーブスもこれにあたる。2014年4月現在で、日本国内で1411店舗、会員数60万人にまで成長した。

 

20057月に直営1号店をオープンしてから、わずか8年9か月という短期間での急成長は、世界各国のカーブスからも驚きの目で見られている。

 

リタイアメント・コミュニティは日本でうまくいかない典型

 

一方、外国発のシニア向け商品が日本でうまくいかない典型は「リタイアメント・コミュニティ」だ。リタイアメント・コミュニティとは、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどに特有の大規模な老人ホームの形態だ。なかには一か所に3000人も居住している例もある。

 

リタイアメント・コミュニティには大きくCCRC(Continuing Care Retirement Community、継続介護付きリタイアメント・コミュニティ)とAARC(Active Adults Retirement Community、元気高齢者向けリタイアメント・コミュニティ)がありる。アメリカに圧倒的に多いのはCCRCだ。アリゾナ州にある有名なサンシティ(Sun City)は、AARCである。

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高齢化先進県・秋田に商機

日本経済新聞 201465 革新力

八幡平温泉65日の日本経済新聞の革新力というコラムに「高齢化先進県・秋田に商機」という記事が掲載されています。私のコメントも引用されています。

 

記事の内容は「企業活動は東京など都市圏に集中するが、「鉱脈」は地方にもある。人口に占める65歳以上の比率(高齢化率)が日本で最も高い秋田県では高齢者支援ビジネスに注目が集まる。今後、先進国を中心に世界が直面する共通課題でもあり、「高齢化先進県」から革新的なビジネスモデルが生まれる可能性がある」とのことで、秋田におけるいくつかの取り組みが紹介されています。

 

今年の3月に秋田の地銀主催の研究会に招かれて講演するために超久々に秋田を訪れました。空港を降りると、空港のすぐそばに複数の大学が設立されているのを知って、少し意外な感じがしました。

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広がる「商品間コンバージェンス」の波

保険毎日新聞 連載 シニア市場の気になるトレンド 第3回

ローソンマート似たような品揃えになってきたスーパー、コンビニ、ドラッグストア

 

以前は、それぞれ別の業態だったスーパー、コンビニ、ドラッグストアが、最近互いに似たような品揃えになり、境界が不鮮明になってきた。このように、もともとは違ったものが、互いに似てくることを「コンバージェンス(Convergence)」と言う。

 

小売業におけるコンバージェンスの例は、コンビニのスーパー化。ローソンが始めた「ローソン100」という業態がそれだ。この店は名前の通り、もともとは100円均一ストアからスタートしたが、肉や野菜などの生鮮食品が比較的豊富にあることが売りになっていった。

 

そこでローソンは、20143月から「ローソンマート」という新業態の展開をスタートさせた。これは「ローソン100」における100円均一の制約を外し、コンビニの利便性とスーパーの幅広い品揃えを兼ね備え、店舗はコンビニより大きめの「進化型コンビニ」を目指したものだ。

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医療・介護・生活関連産業のビジネスモデル報告書が公開されました

2014526日 村田裕之の活動

ビジネスパターン6つ公益財団法人東北活性化研究センターが主催する「東北における医療・介護・生活関連産業のビジネスモデルに関する調査研究」の報告書が公開されました。

 

本プロジェクトは、全国に先駆けて高齢化が進展している東北で高齢者が安心して暮らせるような医療・介護・生活環境の整備を進めるために、昨年度実施したものです。

 

本プロジェクトは、東北活性化研究センターと三菱UFJリサーチ&コンサルティング㈱が事務局を務め、次の有識者委員会委員が適宜アドバイスする形で進めました。

 

座長  竹上嗣郎 前東北大学未来科学技術共同研究センター副センター長教授

委員  村田裕之村田アソシエイツ㈱代表取締役/東北大学特任教授

委員  安宅龍明 独立行政法人産業技術総合研究所

つくばイノベーションアリーナ推進本部共用施設調整室招聘研究員

委員  小松田守本 ㈱シグマコミュニティ代表取締役社長

委員  日路美仙台市経済局産業政策部新産業創出担当課長

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超高齢社会をビジネスチャンスに これからの「旅」マーケティング

週刊トラベルジャーナル5512特別号 トラベル懇話会 4月特別例会抄録

週刊トラベルジャーナル_2014年5月5日・12日号_表紙確実に進む人口の高齢化に伴い、日本社会のあらゆる局面でシニアシフトが加速化していく。それへの対応なしにはビジネスが成り立たない時代が迫っている。今回の講師は日本のシニアビジネスの第一人者である村田裕之氏。シニアシフトの現状や、シニアビジネスのポイントなどについて興味深いお話を聞かせていただいた。

 

オムツ市場は大人向けが過半

 

赤ちゃん用のオムツ市場は11年に1400億円。これに対して12年の大人用のオムツ市場はユニ・チャームによれば1650億円です。もはや日本のオムツの市場規模は大人用の方が大きいのが現実です。

 

次はコンビニ市場。89年度のセブン‐イレブンの来店客に占める50歳以上の割合は9%にすぎませんでした。ところが11年度は30%。3倍以上に増えています。かつてのコンビニは“近くで便利”だが“若者向け”というイメージでした。

 
しかし最近ではボリュームが小さめのお弁当や、サバの煮物、ヒジキ煮などシニア向け惣菜が増えてきました。こうした動きは人口のボリュームゾーンが高齢者に移りつつあるからで、小売業界では12年あたりから一斉にシニア向けの品揃えを強化しています。

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