スマート・エイジングのための秘訣:彩の国いきがい大学入学式記念講演

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彩の国生きがい大学での講演の様子

シニアのいきいき生活応援誌 NEXT! 2019夏号

公益財団いきいき埼玉が発行の「シニアのいきいき生活応援誌NEXT! 2019夏号」に、さる4月15日埼玉会館で行った彩の国いきがい大学入学式記念講演の抜粋が掲載されました。

当日は平均年齢75歳の「新入生」が1000人近く集まり、学びたいという強い意欲の皆さんで大変な熱気でした。

掲載内容は90分の講演のごく一部ですので、さらに詳細を知りたい方は、拙著「スマート・エイジング 人生100年時代を生き抜く10の秘訣」をお読み下さい。

なぜ、いま、スマート・エイジングなのか?

日本人の平均寿命は昨年現在で男80・98年、女87・14年となり人生100年時代と言われ、日本の高齢化率は28.1%を超え世界一の「超々高齢社会」となりました。

高齢化に伴い、認知症人口は2020年に631万人が見込まれ、認知症による社会的コストは年間世界で約50兆円、日本で約14.4兆円、うち介護コストが12.5兆円と大半を占めています。

一方、高齢者は毎年50万人増えているのに対し、労働人口は70万人減っています。このままでは近い将来、要介護になってもきちんと介護を受けられない可能性が大です。

したがって、必要なことは皆さんの要介護時間を最小化することです。そのためのライフスタイルが「スマート・エイジング」です。これは「加齢による経年変化に賢く適応して知的に成熟する」という生き方です。

スマート・エイジングの4条件は、運動、認知、栄養、社会性です。この4条件を踏まえた実践的な秘訣をお話します。

健康で自立して生活するために

1.有酸素運動をする

要介護の原因の上位は認知症18%、脳卒中17%ですが、認知症の約3割は脳卒中が原因なので、要介護原因のトップは脳卒中です。

脳卒中の原因は糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病です。生活習慣病の予防に効果的なのが脂肪燃焼効果のある有酸素運動です。1日30分程度のウォーキング、スロージョギングがお勧めです。

2.筋トレをする

女性は骨折・転倒、関節疾患が要介護原因の上位です。女性は加齢と共に下肢の筋肉が激減します。そこで、筋トレで下肢や体幹の筋肉を鍛えることが介護予防の面で重要です。

3.脳トレをする

一般に加齢と共に脳機能の大半は衰え、言葉が出てこない、怒りっぽくなるなどの症状が出てきます。改善するには脳トレによって脳の前頭前野を鍛えることです。

東北大学の研究で、大きな声で音読する、手で書く、簡単な計算を素早く解く、などが脳の処理速度を向上し、作動記憶量を拡大することがわかっています。

毎日手軽にできる脳トレの例として、1日800字程度、新聞のコラムなどの音読がお勧めです。

元気でいきいきと過ごすために

1.達成すると嬉しい目標を立てる

私たちの脳には「元気」「やる気」を感じさせる報酬系という神経系があり、その際に分泌されるのがドーパミンという神経伝達物質です。

これを積極的に分泌させるには①「目標設定型」の生活、②積極的な声がけやサプライズのある生活、③「嬉しいイベントの予約」が有効です。

2.リズミカルに活動する

不安感をなくし、精神を安定させるのがセロトニンという神経伝達物質です。また、セロトニンは夜にメラトニンというホルモンに変換します。メラトニンは加齢と共に分泌量が減るため睡眠障害の原因になります。

したがって、中年期以降には日常生活で脳内のセロトニンを増やすことが重要で、①太陽光を浴びること、②リズム運動、③グルーミングが有効です。

朝起きたら、水分を取り、太陽光を浴びながら「いち、に、いち、に」とリズムよくウォーキング。そして、よく噛んで食事をすることでセロトニンが出やすくなります。

自分らしく生きるために

1.他人(ひと)の役に立つことをする

人は他人に感謝されると幸福を感じます。先に触れた報酬系が活性化するためです。そして、他人に感謝するときもまた幸福を感じます。脳内にエンドルフィンという神経伝達物質が分泌され多幸感をもたらすことが最近の研究で明らかになっています。

2.好きなことに徹底的に取り組む

自分らしさとは「他者との関係性」で規定され、自分が本当に好きなことに取り組んでいる時に発揮されます。したがって、自分らしく生きるためには、1)好きなことに取り組むこと、2)他者との関係性を良くすることです。

皆さん是非、このいきがい大学で好きなことに取り組み、よい友人を見つけてください。それがスマート・エイジングへの道です。

スマート・エイジング 人生100年時代を生き抜く10の秘訣

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