8月16日 日経MJ連載 なるほどスマート・エイジング

日経MJ掲載記事

最近「健康によい」をうたう食品が目に付きます。「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」などをうたったものです。これらの多くはいわゆる「機能性表示食品」です。

機能性表示食品とは、事業者の責任で、特定の保健の目的が期待できる(健康の維持及び増進に役立つ)と表示できる食品のことです。

機能性には科学的根拠が求められますが、事業者は消費者庁に届け出をすれば商品に表示でき、消費者庁はその内容を審査はしません。

しかし、こうした食品を摂取することで表示されている健康増進効果が本当に得られるのでしょうか。

例えば「事務的作業による精神的ストレスを軽減する」とうたう食品の多くにGABAという物質が機能性関与成分として含まれています。

GABAとはgamma-aminobutyric acid (ガンマ-アミノ酪酸)の略称で、脳の興奮を抑える抑制系の神経伝達物質です。人間の体内では通常、脳の中でのみ生合成されます。

GABAが働くと脳の活動を休ませて眠りに導入しやすくなります。アルコール類を飲むと寝床についても中途覚醒が起きやすくなるのは、GABAなどの抑制系の神経伝達物質の作用がアルコール類によって抑えられるためです。

では、このGABAを含む食品を摂ると、精神的ストレスが軽減するのでしょうか?
その詳細を記事で述べました。

連載第一回で触れたように、科学的根拠があいまいにも関わらず「健康によい」とうたう製品は、中長期的には必ず市場からの退出を余儀なくされます。

なぜなら、社会全体の情報リテラシーの向上によって、目の肥えたスマートシニアがますます増えていき、怪しげな製品は見向きもされなくなるからです。

 

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