「免疫力を上げるXX」は眉唾

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第33回

免疫力向上をうたう商品の例

新型コロナウイルスによる感染症がまん延し、「免疫力向上」をうたう商品に注目が集まっています。免疫力を高める食材とレシピ、リンパマッサージで自己免疫力アップなど様々です。

一部の高齢者住宅では、新型コロナに負けない免疫力アップとうたって準備中のところもあるようです。しかし、こうした商品で「免疫力」は上がるのでしょうか。

免疫とは元々、一度伝染病(疫病)にかかると同じ疫病から免れる、つまり二度目はかからないことを指していました。この仕組みを現在では「獲得免疫」といい、B細胞から生成する「抗体」異物(抗原)に対して特異的に反応して排除する「体液性免疫」と、キラーT細胞のようにがん細胞などを排除する「細胞性免疫」があります。

一方、免疫にはこの他に「自然免疫」があります。これは、好中球やマクロファージ、樹状細胞などの白血球が異物を食べて取り込む仕組みと、NK(ナチュラルキラー)細胞というリンパ球が感染細胞を攻撃する仕組みです。

免疫力を上げるとは「獲得免疫力」または「自然免疫力」を上げるという意味になります。「獲得免疫力」を上げる具体的手段はワクチンや抗体医薬ですが、例えば新型コロナウイルスの場合、実用化まで2年かかかると言われています。

前述の商品・サービスで免疫力を上げるという場合、自然免疫力が対象で、その大半がNK細胞の活性を上げることを指しているようです。

免疫で重要なのは、どの病原体に対して何の防御因子が最も効果的かが異なることです。例えば肺炎菌に対しては抗体に活躍してもらう必要がありますが、この時にNK活性を上げる策を打っても効果は薄くなります。

また何の防御因子が、体のどの場所で最も効果を発揮するかが異なります。例えば腸には多くの免疫細胞が存在しますが、大半が腸で働くものであり、通常のNK細胞とは異なります。

このように免疫力とは、特定の食品やサービスのみで向上するほど単純ではありません。「免疫力を上げるXX」は眉唾だと思ったほうがよいでしょう。

スマート・エイジング 人生100年時代を生き抜く10の秘訣

高齢者住宅新聞

あわせて読みたい関連記事