リズム運動がコロナうつに有効

2020年2月19日 日経MJ連載 なるほどスマート・エイジング

新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛要請が続いている。在宅テレワークを会社から要請されている方も多いようだ。

私自身もテレワークを余儀なくされ、頻繁にオンラインで打合せを行っているが、これが結構疲れる。パソコンの画面経由のため対面に比べてコミュニケーション時の情報量が少ないため、ストレスになるのだ。

また、旅行に行けない、大勢での会食ができないなど行動制限が続くこともストレスだ。こうしたストレスの蓄積に加え、コロナ禍の終息が見えないことで先行き不安が強まり「コロナうつ」へと進行していく人が増えている。

この「うつ」に深く関係するのが前回触れたセロトニン神経系だ。これは脳の視床下部に神経伝達物質のセロトニンを放出して睡眠と覚醒に関わっている。そのためセロトニン活性が低下すると、視床下部に信号が行きにくくなり、寝起きが悪くなるなど睡眠障害の原因になる。

また、前回説明の通りセロトニンは睡眠ホルモン、メラトニンの原料になっている。このためセロトニンが不足するとメラトニンも不足して眠りが浅くなり、やはり睡眠障害の原因になる。

一方、セロトニンには不安を和らげる作用があるためセロトニン活性が低下すると不安感が強くなる。これが極端にひどくなると、強迫性障害や激しい不安と発作を起こすパニック障害などになる。

中高年の方々は会社勤めなら管理職として忙しく、責任も重い。上司からの要求、顧客からのクレーム処理、部下からの突き上げなどもある。一方、家庭のなかでも親の介護、子供の進学・就職、配偶者との関係など、精神的な負荷も多く心労も重なる。

こうした心労が重なり続けると、セロトニンなどモノアミン系神経伝達物質の代謝障害が起き、脳内での濃度が低い状態が固定化される。これがうつ病の原因だと考えられている。朝起きたときに「何もする気がしない」「会社に行きたくない」「起きたくない」と感じるようなら、その兆しがある。

日常生活においてセロトニン神経系を活性化させる方法は次がお勧めだ。第一は「太陽の光を浴びる」こと。光刺激が網膜から脳幹の縫線核という部位に伝わるとセロトニンの生合成が始まり、脳全体のセロトニン神経系を通じて脳が「覚醒状態」になる。

第二は「リズム運動」をすること。これは「イチ、ニ、イチ、ニ」とリズミカルに運動をすることで、ウォーキング、よく噛んで食べること、ヨガなどの吐き出す呼吸が挙げられる。

「どうもコロナうつ気味で調子が悪いんだよ」という方は是非明日から、起床後太陽の光を浴びながら、リズミカルに30分歩き、その後シャワーを浴び、よく噛んで朝食をとることをお勧めする。この一連の「朝活」が日常生活で脳内にセロトニンを増やし、コロナうつを解消するのに有効だ。

ちなみに、朝シャワーはセロトニンを増やすわけではないが活動モードへのスイッチだ。自律神経は寝ている間はリラックスの神経である副交感神経優位だが、起きると活動の神経である交感神経が優位になる。

交感神経が優位になると自然免疫の一つであるNK(ナチュラルキラー)細胞の活性が上がることもわかっている。新型コロナウイルス感染症対策としても有用だ。

スマート・エイジング 人生100年時代を生き抜く10の秘訣 秘訣その6 リズミカルに活動する 

あわせて読みたい関連記事