健康で楽しく安全なシニア旅行の注意点

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夕刊フジ2月19日号

夕刊フジ2月19日号「食と健康 ホントの話」

新型コロナのリスクは感染リスクと重症化リスク

旅行はシニアの健康にいいことづくめであると、前回お伝えした。今回は、健康で楽しく安全に旅行をするためのコツや注意点を、高齢社会研究の第一人者で東北大学特任教授の村田アソシエイツ代表取締役 村田裕之氏に聞いた。

まずはコロナ対策について。感染法上の分類が5類に変わると話題になっているが、新型コロナウイルス自体が心配の少ないレベルまで弱毒化したわけではないので注意したい。

季節性インフルエンザなども同じ5類だが、ご存じのようにインフルエンザでも高齢者や乳幼児は重症化しやすい。

村田氏は、コロナのリスクは二段階に分けられると話す。第一段階は感染リスク、第二段階は重症化リスクだ。

感染リスクを抑える方法は3つあります。1つ目は不織布マスクをすること。たまにまだ布マスクをしている人がいますが、不織布マスクにしてください。2つ目は換気です。換気がきちんとされていればマスクは不要といってよいでしょう。屋内の換気状態はCO2メーターの濃度で間接的に判断できます。」

換気のよい場所に一人でいるときにはマスクは不要。駅や電車、店舗の中など人の多いところでだけマスクをすればいいと村田氏。

「3つ目は人との距離です。マスクをしていない場合は最低2㍍離れてください。これはくしゃみをした時に飛沫が飛んでいく最大距離です。2人ともマスクをしていれば2㍍も離れる必要はありません

重症化リスクが高いシニアは最新型のワクチン接種が不可欠

第二段階の重症化リスクは、これこそシニアにとって重要だ。重症化リスクを下げるには、まずワクチン接種だ。新型コロナウイルスは今後も変異が続くので、常に最新の変異株に対応したワクチンを接種しておきたい。そして基礎疾患のある人はそれを改善することが重症化リスク低減策になる。

「現在は新規感染者数が減っていますが、実は死亡者数は増えています。亡くなっている方は高齢者が圧倒的に多い。それも以前のように肺炎が悪化して亡くなる人よりも、新型コロナ感染後に体が衰弱し、持病や基礎疾患が悪化して亡くなる方が非常に多いからです」

基礎疾患は厚生労働省によって定義されているが、糖尿病や高血圧症・脂質異常症を原因とする慢性心臓病など、生活習慣病やメタボリックシンドロームとも重なる。ちなみに、BMI30以上の肥満もコロナの重症化リスクを上げることが知られている。

基礎疾患の改善が重症化リスクを下げる

元々基礎疾患がある人は、その改善が重症化リスクを下げる。たとえば糖尿病であれば、糖質やアルコールの摂取量を減らす。脂質異常症であればコレステロールの多い食品を控える。高血圧症であれば塩分を控えめにする、といった食生活を日常でも旅先でも心掛けたい。

簡単にできるなら苦労はないことだとは思うが、感染症は人間の都合にお構いなしなので、なんとかがんばってほしい。

旅行には行きたいが、それでもまだ感染が怖くて……という人もいるだろう。「そういう方は、不特定多数の人と接触しない旅行を計画しましょう。たとえば、コロナ禍以降に増えたのが、部屋に露天風呂がついたタイプの旅館や、部屋食です。これまでは高級旅館でしか楽しめなかったものですが、高級旅館でなくてもそうした宿が見つかるようになっています

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