財産管理等委任契約とは?

解脱9月号 連載 スマート・エイジングのすすめ 第21回

解脱会_9月号_掲載財産管理等委任契約とは、自分の財産の管理やその他の生活上の事務の全部または一部について、代理権を与える人を選んで具体的な管理内容を決めて委任する契約です。任意代理契約とも呼ばれ、民法上の委任契約の規定に基づきます。財産管理等委任契約は、当事者間の合意のみで効力が生じ、内容も自由に定めることができます。

任意後見契約と財産管理等委任契約との違いは、任意後見契約は判断能力が不十分になった場合に利用できるものですが、財産管理等委任契約は本人の判断能力が十分で、「身体が不自由になった場合」に利用できる点です。

なぜ、財産管理等委任契約が必要なのか?

たとえば、あなたの親が脳梗塞で倒れ、身体が不自由になり、車イス生活になったり、後遺症で言葉がうまく話せなくなったり、字が書けなくなったりすると、本人による財産管理は事実上できなくなります。こうした場合、身近に家族がいる場合、以前なら家族に頼んで銀行預金の引き下ろしなどができました。

ところが、金融機関等では「本人確認法」施行以来、本人でなければ家族でも預貯金が簡単に引き出せなくなりつつあります。もちろん、ちゃんとした委任状があれば第三者でも金融機関での手続きはできますが、預金を下ろすたびに、いちいち委任状を作成するのは大変面倒です。

一方、任意後見契約を結んでいたとしても、判断能力が十分ある場合は、契約を発効させることができません。そこで、日常の事務手続きは信頼できる誰かが包括的に代行できるよう委任契約を結んでおくと便利です。

財産管理等委任契約は、特に次のような場合に有益です。

[1]急病による入院期間中の対応
特に一人暮しの人が急病で入院をしたり、病気での療養期間が長引いたりした場合に、本人に代わって財産管理を行ないます。

[2]日常生活の金銭管理の代行
預貯金を管理して、税金や公共料金、医療費等の支払い手続等を行ないます。療養看護については、定期的な本人安否・健康状態の確認、医療や介護に関する契約や手続き等になります。

解脱会_9月号_表紙財産管理等委任契約で注意すべき点は何か?

財産管理等委任契約では二つ注意すべきです。一つは、弁護士を契約の受任者とすること。もう一つは、契約書を公正証書で作成するのが望ましい点です。

財産管理等委任契約は、任意後見契約とは異なり、「任意後見契約に関する法律」のような法律はなく、民法上の委任契約に過ぎません。また、財産管理等委任契約の内容は、自分の財産の管理やその他の生活上の事務の全部または一部について、代理権を与える人を選んで具体的な管理内容を決めて委任する契約ですので、「法律事務」に該当します。法律事務を弁護士以外の人が行なうと、非弁護士の法律事務の取扱い等を禁じた弁護士法第72条に抵触することになります。

また、財産管理等委任契約は、任意後見契約とは異なり、公正証書での作成が法律で義務づけられておらず、後見登記もされません。しかし、契約書の安全性を高めるためには、公正証書での作成が望まれます。

さらに、任意後見監督人のような公的監督者がいないために、受任者が契約どおりに業務を遂行しているかどうかのチェックは、受任者から委任者への報告によります。この点からも信頼できる第三者の弁護士が契約の受任者となることが妥当です。作成においては、弁護士のアドバイスを受けることをお勧めします。

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