商品を売る側が「客を感動させよう」とすると感動しない

ビジネス切り口別
ディズニーによるステマ騒動謝罪コメント

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第31回

人は感動すると自分でも何か行動を起こしたくなり、消費する

2020年には東京オリンピックが開催されます。私たちはオリンピックやスポーツイベントでの選手の活躍に感動すると消費します。

ソチオリンピックの男子フィギアスケートで初めて金メダルを取った羽生結弦選手の活躍を観て感動した人は、羽生選手の関連グッズをたくさん買いました。

かつて、私もトリノオリンピック荒川静香選手が金メダルを取った時、彼女がフリープログラムで使用した曲「トゥーランドット」と、エキシビションで使用した曲「ユー・レイズ・ミー・アップ」をすぐに全曲ダウンロードで買ってしまいました。

CDをレンタルした方がはるかに安いのですが、「すぐにその曲が聴きたい」気持ちの方が強く、感動の熱が冷めないうちに多少高くても購入したくなるのです。

昨年のラグビーワールドカップでも、史上初めてベスト8に入った日本代表の見事な活躍に日本中が湧きました。あれをきっかけに多くのラグビー関連グッズが売れました。

このように、人は感動すると自分でも何か行動を起こしたくなり、消費するのです。

商品を売る側が「客を感動させよう」とすると客は感動しない

一方、こうした“原理”を応用しようと思う場合、気をつけたいことがあります。

それは、商品を売る側が「顧客を勇気づけよう」「顧客を感動させよう」と意図的に行うものは売れないということです。

最近ではディズニーの映画「アナと雪の女王2」におけるステマ(ステルス・マーケティング)がその例です。

感動は「もらう」ものではなく、「する」もの

勇気というのは他人からもらうものではなく、自分のなかで「湧き出る」ものです。

同様に、感動というのも他人から「もらう」ものではなく、自分で「感動する」ものです。

したがって、商品を売る側が意図的に「顧客を勇気づけよう」「顧客を感動させよう」という操作主義的なメッセージや仕掛けには、どこか白々しさが付きまといます。

顧客は勇気づけられないし、感動もしないのです。これを誤解しないように気をつけてください。

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