シニアビジネスの基本「顧客ニーズをみたすサービス」

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シルバー産業新聞110日号 新春座談会

カーブスジャパン会長 増本岳さん、オリックスリビング社長 森川悦明さんと鼎談

私が長年連載を務めているシルバー産業新聞の新年号にシニアビジネスの基本「顧客ニーズをみたすサービス」と題した鼎談が掲載されました。

鼎談のメンバーは、カーブスジャパン会長 増本岳さん、オリックスリビング社長 森川悦明さん、そして私です。シルバー産業新聞社長で編集長の安田勝紀さんも同席されました。この鼎談記事は紙面1ページに渡り、文字数も5千字を超える大きな扱いです。

実は今回の鼎談は、安田さんからの要請を受け、相応しいお二人にお声掛けさせていただき、実現したものです。お二人の共通点は介護保険制度にベッタリと依存したビジネスをせず、事業として成功していること、創業時に命を削るようなご苦労をされ、それを乗り越えてきたことです。

テレビで評論家の話を聴いても腹に響くことはほとんどありませんが、このお二人のお話には、退路を断って新規事業に取り組んできた人だけが持っている胆力が備わっています。

鼎談の一部を下記に掲載しますが、本当に素晴らしい内容ですので、これから介護保険に依存しないシニアビジネスに取り組まれようとする方は、シルバー産業新聞を購読されて全文をお読みいただくよう強くお勧めします。

制度に依拠しないビジネス構築へ

――本日は、シニアビジネスの成功事例として、本紙「半歩先の団塊・シニアビジネス」の著者、村田裕之氏をコメンテーターに、カーブスジャパン増本会長、オリックスリビング森川社長のお二人から成功に至った事業のポイントをお聞きします。

村田 15年介護報酬は9年ぶりの引下げが必至の情勢で、制度にべったり依存したビジネスモデルは、中長期的には持続が難しくなることが予測されます。そのなかで、高齢者住宅を展開するオリックスリビングは、介護保険は利用するが、全面的には依存していない。カーブスジャパンは、市井でマシンを使った健康体操をビジネス化した、介護保険とは全く縁がないモデルです。どのように事業を組み立て、顧客を確保したのかをお話いただきたいと思います。

増本 カーブスは、女性だけの30分健康体操教室です。ふつうのフィットネスクラブが元気な人がより元気になるのをめざすのに対して、カーブスの利用者はこれまで運動経験はほとんどなかった60歳代が中心で、50歳以上が85%を占めています。健康増進や生活習慣病予防・改善、将来の介護予防を目的に利用している人が多く、店舗数は全国1534店、67万1000人のユーザーがいます。

森川 オリックスリビングは、054月設立の高齢者住宅の運営会社です。介護が必要になっても住み続けられるまちづくりをめざして、03年に横浜で親会社のオリックスが手掛けた集合住宅群「マークスプリングス」(734戸)の中に、40戸の有料老人ホームをつくったのが最初です。クリニックと訪問介護を併設しました。当初、社内には介護分野への参入に消極的な意見もあったのを、結局、実施したという経緯があります。

村田 実際にやってみて、どうでしたか。

森川 すぐに満室になり、その後、利用料アップも行いました。URなど見学が相次ぎ、一企業がこれだけできるのかと驚かれた。マンションに有料老人ホームを併設した。ただし、高齢者介護事業に知識も経験も持ちえないのに事業がうまくいったのは、介護事業に長年携わってきた社会福祉法人や意欲的な医師が運営に携わったからです。しかし、運営を任すことのできる人はほかにも大勢いると思ったのは大間違いで、それが全くいない。ビギナーズラックでした。関わっていただいた社会福祉法人や医師がすばらしかったのです。方針を転換して、054月に、自ら運営を行う当社を設立しました。

増本 05年に、アメリカのカーブスを日本で事業化する権利を取得。アメリカでは肥満解消の目的が多く、年齢も日本より若い40~50代が中心です。いまや全世界80カ国に広がっています。当時、日本の団塊の世代は50代半ばで、10年すれば高齢者域に達し、医療費や介護費用は増大し、社会問題になるに違いない。そこで運動経験のない人たちの健康教室という新しいマーケットが開拓できると思ったのです。

村田 すんなり受け入れられましたか。

増本 同年7月に、東京都品川区で直営の第1号店をオープンしました。小さな商店街の外れの3階建で、1階はクリニック、2階は学習塾。考え抜いたオープンチラシを2万枚まいたのに、問い合わせが4件あっただけ。

村田 簡単にはいかない。

・・・続きはシルバー産業新聞をお読みください。

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