時代性の変化はシニアの消費行動にどう影響するか?

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第60回  

2000年代中頃から変わった「ハッピーリタイアメント」の中身

時代性とは風潮や流行のことです。「時代性の変化」はシニアの消費行動に大きく影響します。この変化には短期(数か月から数年スパン)のものから長期(10年スパン)に渡るものがあります。

また、主に男性に見られるもの、主に女性に見られるもの、男女両方に見られるものがあります。最近では新型コロナウイルス感染症の流行による消費行動の変化が一例です。

ここ15年の間に変化が起きたものに定年退職後のライフスタイルがあります。2000年代中頃までは、退職後は仕事をやめてのんびり過ごすライフスタイルが「ハッピーリタイアメント」の理想形でした。

首都圏に住んでいる人なら、長野県や栃木県などにセカンドハウス(写真)を購入し、退職後は晴耕雨読を目指す人が多かったのです。

また、多くのデベロッパーがアメリカ型の大規模なリタイアメント・コミュニティを模倣し、退職後の夢の生活を謳うゴージャスな自立型有料老人ホームを争って建設しました。しかし、2008年のリーマンショック以降、こうした市場はほぼ消滅しました。

退職後は「毎日遊んで暮らす」から「週3日は仕事をする」

東日本大震災以降に起こったユーロ危機、アメリカの景気低迷、イランの核開発、中東の民主化動向、消費税増税など国内外において先行き不透明感が増大しました。

また、国内の産業空洞化が進み、雇用調整のため、65歳以前に退職を余儀なくされる団塊世代が増加しました。

このような背景から、退職直後は多少遊ぶものの、退職後も週3日程度は仕事を続ける「半働半遊派」が増加しています。

一方、企業が退職年齢を従来の65歳から70歳以降へ伸ばす動きも強まっています。政府が年金受給開始年齢を70歳以上に繰り下げると受給額が増える制度を導入したことがこうした傾向に拍車をかけています。

今後は「70歳まで現役」の人が増えるでしょう。すると70歳まで心身ともに健康維持できるための商品・サービス需要の増加が予想されます。