2014630Webook of the Day

webook誰よりもわかりやすく、温かみのある書評で多くのファンがいるWebook of the Dayを主催されている松山しんのすけさんに新著をご紹介いただきました。以下に、全文を転載させていただきます。松山さん、いつもありがとうございます!

 

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■■       Webook of the Day 梅雨の晴れ間便

□□   http://webook.tv

■■       Shinnosuke Matsuyama

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——————————————————2014.06.30—–

 

 

うすうす感じていたことが、なるほど!に変わる・・まさに教科書!

 

 

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■■【今日の一冊】~ 成功するシニアビジネスの教科書

 

「超高齢化社会」をビジネスチャンスにする技術

 

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|村田裕之/著

|日本経済出版社|20146

ISBN45323190051600円|254P

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__この本のツボは?_________

 

モノがあふれ経済成熟社会になってきた日本は、今、超高齢化社会とかシニア

の時代とか言われ、世界にも類をみない高齢化の真っただ中にある。

 

団塊の世代と呼ばれた人たちが、シニア層の中心になりつつある今、ビジネス

のターゲットは確実にシニア層に向いてきている。

 

本書にも紹介されているが、オムツの販売は、ついに赤ちゃん向けをシニア向

が追い越したという。ちょっと衝撃的なデータではないだろうか。

(紙オムツ市場:乳幼児向け1400億円、大人向け1650億円~ユニ・チ

ャームデータ)

 

本書は、シニアビジネスの第一人者である村田さんが、こうした時代背景の中

で、シニアビジネスに取り組むときの様々な視点やヒントを、豊富な事例とと

もに解説している本である。うすぼんやりとしか見えなかったものがクッキリ

と見えたときの驚きに似た感覚を随所で感じることだろう。

 

まず、シニアの消費行動の特徴が統計データや著者の洞察から解説されている。

 

+ シニア市場は、「年齢」ではなく、顧客が求める「価値」で括られる

市場と認識すべし。

+ シニア市場は、「女性主導市場」である。(ガッテン!)

+ 2025年には高齢者もネットが使えて当たり前になる。

などなど

 

そして、シニアビジネスを創出するための、ビジネスチャンスの見つけ方、発

想、ニーズの見つけ方などが、具体的な事例の紹介とともに解説され、ナルホ

ド~!がいっぱいである。

 

たとえばコメダ珈琲店。浦安市で私も一度入ったことがあるこのお店、いかに

も名古屋発祥という雰囲気の店とサービスである。実はこれ、シニアの居場所

の定番になっているという。なぜか。

朝7時から開店、山小屋のようにボックスになっている、壁の部材が木ででき

ている、11時までのモーニングには、ドリンク代だけでトーストとゆで卵が

ついてくる!など、毎日行く場所のない退職者向けの第三の場所になっている

のだ。(家庭=第一の場所、仕事場=第二の場所、そして第三の場所)

 

さらにこの先、同じシニアでもミクロの集まりであるという著者の分析のとお

り、コメダ珈琲店では満足できないちょっと富裕層なシニアもいるはずだから

異なるコンセプトの居場所がでてきてもおかしくない。

 

このほか、「旦那と旅行してもつまらないから、一人で参加する旅(ララの旅

http://www.club-t.com/theme/friend/ohitori/lala/ )」、究極の地元資源

=おばあちゃんたちをおやきづくりの主役にした長野県の「おやきビジネス、

小川の庄(http://www.ogawanosho.com/)」の事例など、発想を大いに刺激す

る事例と洞察がとても嬉しい。

 

家族構成に関連した「近居大家族消費~ディズニーの3世代割引など」「孫消

費」「親孝行消費~子供もすでに中高年。つながりほっとサポート*」など、

発想やMosoをいたく刺激する事例も愉しい。

* : https://www.nttdocomo.co.jp/info/notice/tohoku/page/130417_01.html

 

2000年ころ渋谷でビットバレーというネットベンチャーの熱狂の渦があった。

私もちょこっとその場にいたが、とてもわくわくした。

14年後の今、それとは違う色合いのワクワク感が、シニアビジネスにあるので

はないだろうか。シニアバレー到来か?! 笑

 

いずれ他人ごとではなくなるシニアワールドを、自らの手で楽しくする構想を

考えてみるのも悪くない。

 

本書は、そんなあなたの素敵な教科書になるはず。

 

本書のおわりには「超高齢社会に明るい未来を感じる瞬間」と題された一文が

あり、とても心をうたれた。フィットネスクラブのカーブスで働く若い女性の

エピソードである。

 

20代、30代の若者が、50代以上の年輩者に厳しく文句を言われ、怒られ、

奮闘しながらサービスを提供する機会が、実は人間として成長できる機会

にもなっている。・・これが、シニアビジネスが若者のためにもなると

冒頭に書いたことの別の意味です。

 

だからこそ「日本の未来は決して暗くない」という目線に、村田さんの“香り”

を感じるのは、私だけだろうか。

 

 

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