シルバー産業新聞 2014710日号

 

シルバー産業新聞140710_書評_右スペースあり本紙連載「半歩先の団塊シニアビジネス」の筆者、村田裕之氏の新著。数多くのシニアビジネスに携わってきた村田氏の経験から、超高齢化社会での事業開拓・拡大へ導くためのヒントが提示されている。

 

筆者はまず、シニアの消費行動は、▽加齢による肉体の変化▽本人のライフステージの変化▽家族のライフステージの変化▽世代特有の嗜好性とその変化▽時代性(流行・生活環境)の変化――というこの世代特有の「変化」によって決まると指摘。これらをよく見極めて、時機を得た商品・サービスを提供することが必要と説明する。

 

その上でシニア世代の多くは、いまだ解消されていない様々な「不安」「不満」「不便」を抱えており、それらの解消を目指した付加価値の高い商品・サービスを生み出すことが、シニアビジネスの基本と唱える。

 

そこで、中高年女性の不満を徹底的に解消したフィットネスクラブ「カーブス」、塩分やカロリーを抑えた総菜などの提供でシニア世代のニーズヘも対応したコンビニなどを例示している。

退職後のシニアにとって重要になるのが、知的好奇心が結ぶ縁、すなわち「知縁」だとする筆者。薄まりつつある血縁や地縁、そして会社とのつながり(社縁)。その中で知縁で結ばれた関係を活かしたビジネスを提案する例として、クラブツーリズムのテーマ型旅行を挙げる。

 

会社側がある旅行のテーマを打ち出すと、それに興味をもつ人が集まり、リピーターの確保にもつながる。またカルチャーセンターで、教室の開催だけでなく、関連する商品を販売することで、参加者の欲求を満たす受け皿をすぐそばに用意することも有効だとする。

 

成功するシニアビジネスの教科書