買物ポイント 紙のカードとスマホのアプリ シニアはどちらを好むか?

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高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第68回

シニアライフにも及ぶデジタル化の波

シニアは一般に買い物時のポイント付与に敏感だ。

以前は、一部のチェーン店を除き、小さな商店が発行するポイントカードはほとんどが紙製だった。主婦の財布を見ると、紙製のカードが何十枚と入っていて、分厚く膨らんでいたものだ。

こうした状況を踏まえ、拙著「成功するシニアビジネスの教科書」「紙製のポイントカードをスマホで代替し、どの店のポイント管理もスマホ一台で簡単にできる仕組みがあれば、顧客の利便性は格段に高まる」と提言した。

その後、提言通り、スマホ一台でアプリによりポイント管理ができる店がかなり増えた。ところが、アプリの仕様が店毎に異なり、決済システムも絡んで複雑化し、シニアにとっての新たな「不(不便)」になっている。

例えば、セブン‐イレブンで買い物をする際にポイントを得たいならば、スマホに「セブン‐イレブンアプリ」を入れる必要がある。この作業だけなら、スマホを使い慣れている人には大した負担ではない。

アプリの導入が新たな「不便」を生んでいる

一方、セブン‐イレブンで実施中(2月20日現在)の「中華フェア」で「五目春巻」を買うと「50ポイント還元」というキャンペーンをやっているが、このポイントを得るには、電子マネーnanacoアプリを事前に入れておく必要がある。

ところが、このアプリの導入・設定がスマホに習熟している人でもかなり面倒だ。恐らく、以前セブンペイを導入しようとしてセキュリティ上の問題で中止した経緯があるため、セキュリティを強固にした結果と思われる。

システムのセキュリティ強化と使いやすさとはトレードオフの関係だ。このため、セブン‐イレブンで買い物に伴う割引ポイントを多く得ようとするほど、煩雑なアプリを使いこなさなければならない結果として、こうした操作が苦手なシニアの利用を遠ざけているのだ。

対策としては、あくまで利用者の立場での操作性の改善、インターフェイスの改良が必要だ。そうでないと、安定した顧客であるシニア層の買い物機会を失うことになるだろう。

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