意外と知らない保険外シニアビジネスの常識

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高齢者住宅新聞 介護保険に頼らないシニアビジネス成功の12のヒント 第2回

介護保険制度に依存してきた事業者が、保険外シニアビジネスを始める際に知っておくべき常識をお話しする。

第1に、事業におけるコストと品質とのバランス感覚を持つこと

以前、ある小規模デイで次の光景を見て唖然とした。10人の利用者に対してスタッフが10人。食事、2回のおやつはスタッフによる上げ膳・下げ膳、ピアノの生演奏まであった。

こうした過剰スタッフと過剰サービスでも事業が成立したのは保険報酬のため。だが、保険外ビジネスではあり得ない。例えば、中高年女性フィットネス「カーブス」では、1店舗のスタッフは平均3人。これで3~400人以上を相手にしている。

第2に、保険サービスの時と別の土俵での市場開拓が必要なこと

私の所属する東北大学と公文教育研究会とで開発した対認知症非薬物療法の「学習療法」は、全国でのべ2万人以上の利用者がおり、アメリカにも輸出されている。

利用料は当初月間一人税抜1500円だったが、ある時2000円に値上げしたら、介護施設から猛烈なクレームを受けた。値上げ後でも1日67円の費用は決して高価とは思えないのだが、保険外サービスのために、自費負担が増えることへの抵抗感が大きいのだ。保険サービスに慣れている顧客に保険外サービスを提供する場合は、保険サービスと別の土俵にするべきだ。

第3に、商品には機能だけでなくスタイリッシュさが必要なこと

私もマーケティングに関わった「らくらくホン」は、シニアが使いやすい機能を満載した優れたものだ。だが、初期のモデルでは「年寄り臭い」と言われ、シニアでもそれを嫌う人からは敬遠された。

その後、お洒落で格好良いデザインに変更したところ、売り上げを大きく伸ばした。

介護用品分野でも機能は優れているがデザインはいかにも年寄り臭いものが多い。これも公的介護保険市場と言う官製市場でよく見られる風景だ。

保険外ビジネスでは、こうした公的介護保険ビジネスでの商習慣に対する発想転換が強く求められる。

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