欧州で大人気 家具のようなIoT見守り機器

転倒検知アラーム通知機能 新聞・雑誌

シルバー産業新聞 連載「半歩先の団塊・シニアビジネス」第163回

皆さんはフランス発の製品で何を思い浮かべるだろうか。ワイン、チーズ、フランス料理などの食料品、ルイヴィトン、シャネル、エルメスなどの高級ファッションが多いかもしれない。

今回ご紹介するのは、最先端のIoT技術を活用しながらフランスらしいお洒落なデザイン高齢者見守り機器「アラジン(Aladin)」だ。

日本では既に数多くの種類の高齢者見守り機器があるが、市場占有率が20%を超えるようなガリバー的製品は一つもない。ところが、このアラジンは欧州のトップ16の老人ホームに導入されている人気商品だ。その理由を順に説明したい。

1.高齢者の居室での転倒を76%低減

居室でのランプ点灯風景

アラジンという名称は有名な「アラジンの魔法のランプ」にちなんでいる。高齢者住宅の居住者あるいは自宅の居住者が夜中にベッドから立ち上がる際に、立ち上がり動作を検知して自動的に足元を照らすランプ機能があるからだ(写真1)。

注目すべきは、この機能によりアラジン導入前に比べて入居者の転倒回数が平均76%低減したというデータが欧州での実績で得られている点だ。実際、利用者の80%が導入後に自身の転倒が減ったと答えている。

日本の高齢者住宅における転倒の約70%は居室で起きている。フランスを含む欧州でも同様であり、高齢者の転倒を減らすには居室での適切な見守りがカギとなる。

2.居室での転倒自動検知機能でスタッフのストレスを50%低減

転倒検知アラーム通知機能

アラジンは居室内の高齢者の動きを複数のセンサーで常時モニターし、転倒を検知・識別する。転倒と識別されると適切なタイミングでアラジンからの信号を Wi-Fiで施設スタッフのスマホ等へアラームを通知する(写真2)。

この機能により特にスタッフ数が少ない夜間にスタッフの負担が減る。欧州での実績では、夜間のスタッフの精神的ストレスがアラジン導入前に比べて50%低減したというデータがある。

3.居室になじむ家具のような外観デザイン

日本メーカーによる見守り機器の多くがカメラやセンサーなどの機械的な器具で「いかにも監視している」という外観のものが多い。これに対してアラジンは、家具のような外観デザインで居室になじむため、見守り機器という雰囲気がしない。

色も標準で8色あり、カスタマイズもできるため、居室のインテリアに合わせたお洒落な雰囲気で設置できる。日本の高齢者住宅事業者の方にアラジンを見せると、このフランスらしい製品デザインに感心される。

4.データはクラウドに蓄積、行動傾向分析も容易

アラジンにはWEBベースのデータ分析アプリが付帯しており、利用中の全ての施設・居室・入居者の状態をオンラインでリモートにてモニターできる。

また入居者ごとに細かく条件設定のカスタマイズができる。これにより施設スタッフは、入居者の居室に行かなくても入居者の状態を把握できるためスタッフの作業負担が減る。

さらに過去に発生した転倒データはクラウドに蓄積され、いつ、どんな理由で転倒が発生しているかなどの行動傾向分析が可能だ。これにより、当該入居者に即した転倒予防策の策定が可能となる。

5.IoT技術で多くの居室に最低限の工事で設置可

一般に高齢者見守り機器を導入する際、施設当たり30室程度から200室を超える居室に機器の設置が必要だ。だが、この設置のために新たに壁に穴を開ける、無線LANルーターを設置する、ケーブル配線を多数行う、などの必要があると導入の敷居が高くなってしまう。

アラジンは見守り機器そのものがIoTであるため、インターネット経由で通信することができるため、配線は電源供給のみ

またアラジンがルーター機能も持つため、多数の居室に設置の場合でも部屋ごとにルーターを設置する必要がなく、工事の大幅な削減が可能だ。(ただし、施設のインターネットと一台目のアラジンとの接続用ルーターは必要)

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