2025年11月21日 生協総合研究所主催 第34回全国研究集会
500人を超える申し込み 生協のシニアビジネスへの高い関心が示された
主催者の生協総合研究所によれば、表題の全国研究集会に対し会場聴講、オンライン聴講、オンデマンド聴講合計で500人を超える申し込みがあったそうです。
超高齢社会における「生協のシニアビジネス」への高い関心を反映したものと言えます。
私の講演を含めて3つの講演、3つの事例報告があり、それぞれの講演・報告後に活発な質疑応答がなされました。
13時から17:30までの4時間半という長丁場したが、興味深い話が多く、会場での時間はあっという間に過ぎていきました。
今回の講演会の講演録は、生協総研が発行する「生活協同組合研究」2026年2月号に掲載とのことですので、ここでは私の講演「超高齢社会の進展とシニアビジネスの要諦」の要旨をお伝えします。
超高齢社会の進展で何が起きるのか?
講演の前半は、今年2025年がかなり前から「2025年問題」として注目されてきた理由を改めて述べ、15年後の2040年に何が起きるか、いわゆる「2040年問題」をお話ししました。
「2025年問題」とは2025年に起きる問題ではない。医療・介護ニーズの急速な高まりに起因する「問題」が起き始めるのが2025年、というのが正しい理解。近い将来、要介護状態になった場合に良質な介護サービスを受けられない可能性がある。
結論から言えば、2040年には要介護になっても介護職員の不足により、良質な介護サービスを受けられない可能性が大きいことです。
必要な対策は「健康寿命を延ばす」ではなく、「要介護時間を縮める」、つまり、いま元気な人(アクティブシニア)をなるべく要介護者にしないことです。
これを公的助成金や介護保険報酬に依存せず、ビジネスの仕組みで解決することを私は20年前から「シニアビジネス」と呼んでいます。
シニアビジネスとは、シニアが商品・サービスの使い手、または担い手になるビジネスを言います。売り上げ(収入)を公的介護保険報酬に依存するものと、依存しないものがあります。
シニアビジネスの要諦:不の解消と自社の強みを活かした差異化
講演の後半は、シニアビジネスの要諦を2つ。1つは、不(不安・不満・不便)の解消。もう1つは、自社の強みを活かした差異化。これを事例でお話ししました。
特に生協の強みは、「組合員参加型」の商品企画・開発の仕組みであり、その豊富な経験と実績です。
シニア市場とは、マス市場ではなく、「多様なミクロ市場の集合体」なので、組合員の多様な「不」の解決が事業成長につながることをお話ししました。
なお、下記の文献に生協の差異化戦略についての私の考えを詳細に述べています。
参考文献:“超々高齢社会”における生協の可能性 人生100年時代を見据えて─生協の差異化戦略を考える
公益財団法人 生協総合研究所のサイト。生協の事業と活動および消費生活と生活文化の向上、協同と連帯の促進に関する総合的な調査・研究、教育・研修および助成等に関する情報を提供します。
生協総合研究所主催 第34回全国研究集会プログラムの詳細
公益財団法人 生協総合研究所のサイト。生協の事業と活動および消費生活と生活文化の向上、協同と連帯の促進に関する総合的な調査・研究、教育・研修および助成等に関する情報を提供します。



